さそり座
月はジッと見ている
後ろ姿を覚えねば
今週のさそり座は、自分の後ろ姿をジッと見つめていくような星回り。あるいは、観客席から見える自分を見ていくことで「離見の見」を為していこうとすること。
人間にとって自分の背中を見ていてくれる相手をもつことは、きわめて重要なことです。
なぜかと言うと、そういう視線を背中に感じていないと、人はしばしば自分の「没頭」「暴走」を止められなくなり、自分が我を忘れていることに気が付かなくなってしまうからです。
人間、長く自分自身を演じていれば、よほど気を付けている人でも、自分の役柄につい没頭してしまう。
そうすると、生きているということが、その時々の場面にあわせて役柄を演じ分けている舞台劇であるということを忘れて、撮影が終わっても、自宅に戻っても、まだ同じ役柄が続いたままの状態になっていたりする訳です。
よき俳優であろうとする者は、いつだって客観的に自分を見つめる目を持つことが必要であり、それは春分の満月に占星術上の新年を迎えていく今週のあなたにとって、何よりも大切なメッセージであるはず。
私たちは刻々と変わっていく
人が突然変わってしまったり、時に自分が自分でないもののようになってしまうのは、占星術的に言えばおそらくは月のせいなのでしょう。
太陽とは違って、見上げるごとに違う顔をしている月の存在は新石器時代の昔から人類にとって変化の象徴であり、したがって死の起源であり、哲学の産みの母でしたが、それは何よりも月の「青」として現われているように思います。
「月がとっても青いから~遠廻りして帰ろう~」という歌もありましたし、なぜだか昔から月と言えば青いと相場が決まっているのはじつに不思議です。
実際スペクトルをとってみるとあんまり青くないんですが、これも恐らく、月という存在そのものが人間の「シャドウ(影)」の部分を刺激するからなのでしょうね。
影との付き合いは意義にも満ちている一方で、しばしば危険を伴ないますし、下手をすればふとした拍子に顔や頭がヘンになってしまう。「ルナティック」とは言い得て妙ですが、そんな月の存在こそ、地球人にとってまさに「離見の見」の鍵なのです。
春分と同じタイミングで満月を迎える今週は、影でありながら目でもある。そんな月を経由して、自分の背中について思いを馳せていきたいところ。
今週のキーワード
「我を見て、離見の見せよ、人間よ」