さそり座
再開の美学
思いは円環を成す
今週のさそり座は、機械に「心」を問うた時そこに現れるもののごとし。あるいは、円環的な関係の中で生きていることを実感していくような星回り。
人工知能とのやり取りの中で、彼らがまるで「心」を持っているかのように感じられる時というのは、一体どういう時なのだと思いますか?
この問いについて考えていくとき、例えばルネ・ジラールという社会学者の唱えた欲望の円環構造ということが思い浮かんできます。彼によれば、人間の欲望というのは模倣に基いており、まっすぐ対象に向かうのではないと言うのです。
例えばここに見事な器があったとして、いきなりこの器そのものが欲しいと人は思えるかと言うとそうはならない。
例えばあの人が欲しがっているものを自分が持っている、というのが大事で、そうして周囲の人の欲望を予測して真似をして、他者を自分の中に取り込むことで初めて欲望は芽生える。
つまり、欲望は他者を経由し、取り込んだり取り込まれたりしながら、渦をまいて欲望のリングを創り出すのだと。
だからもし、あなたがふと手に取った本や偶然見かけた相手を「欲しい」と感じたなら、それはかつてあなたが取り込んだ誰かの欲望を再現しているのであり、そういう瞬間に人は欲望を通してその誰かと真の意味で繋がっていくのかもしれません。
果たされなかった思いの行方
どんな家系にも、家の記憶を丹念にたどっていけば、果たされなかった思いや積まれた業の1つや2つは埋まっている。それをただ棺桶に入れて寝かせておくだけでは、決して先祖が成仏することはないでしょう。
その点、さそり座の人というのは、遠い過去と近くの過去など時間軸の中でバラバラのままになっている記憶や光景というものを丹念に繋ぎ、結びつけてはひと塊りにしていく考古学的感性に特に優れたところがあります。
そしてまさに今こそ、そうした持ち前の感性をフル稼働させて、忘れ去られていた思いや業を掘り出していく絶好の機会と言えるでしょう。
今週のキーワード
円環性は縁完成