さそり座
性愛と手放し
心の触覚
今週のさそり座は「性愛や束にして紫蘇ざわざわす」(高勢祥子)という句のごとし。あるいは、心の触覚を頼りに、対象を内側に取りこんでいくような星回り。
性愛とはこんなものであると、あくまで等身大にそれと向き合っていく。そんな、どこか心許なくも、純粋なエロへの感受性が「ざわざわ」という手触りを通じて伝わってくるようです。
束にした紫蘇の葉のちょっと紫がかった緑の色合いの曖昧さと、葉の表面の感触の組み合わせが絶妙で、そこに作者の思いの痕跡がスッと浮かびあがってくる。本当にこれでいいんだろうか、とか、次に何をすればいいんだっけ、とか。
それでも、わたしはわたしの心の触覚をつかって、それを確かめているんだという、どこかホッとするような息遣いが感じられるのはなぜでしょうか。
まるで10代の少女の頃の心を取り戻したかのような、丸裸の心の手触りをそっと確かめていくような今週です。
「放てば手に満てり」(道元)
もしいま何か悩んでいる問題があるなら、最後の手段として、当の「それ」を一度手放してごらん。
ただし、それは単に中途半端な状態で何かを投げ出し、放棄せよということでは決してありません。そういう形で何かを「諦める」と、かえって執着を生み、後々まで引きずることになってしまう。
心の手触りということにおいても、性愛ということにおいても、まずはぎゅっと握りこんでいる何かを手放すことから始まるのだと思います。
おのずからの変容へと自分の命を手渡し、「それ」を自分の手元から解放していくこと。そうして、すっかり雑念や妄執で硬直してしまっていた頭の中を「からっぽ」にすること。
今週は、すべてが変わりつつある最中においてこそ、自分もまた成熟し洗練されていくことができるのだという実感を、少なからず得ていくことができるでしょう。
今週のキーワード
滞ることなかれ