さそり座
ばらばらからまとまりへ
知覚の統合
今週のさそり座は「てざわりがあじさいをばらばらに知る」(福田若之)という句のごとし。あるいは、見えている現実の背後で、持続的な影響をふるっている根の部分を捕まえていくような星回り。
詠まれている季節は全然違うけれど、この「てざわりが知る」という感覚はまさにさそり座のもの。
しかもそれが「あじさいをばらばらに」という対象とプロセスをたどって、だんだんと1つの像へと収束していくさまは、さそり座木星期を抜けたさそり座の人たちの今そのものを表してくれているように思える。
世界と自分とが薄い膜1枚をはさんで向き合いつつ、その膜の上にあたかも偶然のように「あじさい」が浮かびあがっている。
けれど、それは決して偶然ではなく、ひとつひとつの「てざわり」の断片が時間をかけて蓄積され、繋ぎ合わされてきたゆえに起きた必然的な帰結なのではないでしょうか。
そして、そこまで思い至るとき、そうした「てざわり」の断片を意味のある偶然性をもってちりばめておいてくれた何者かの意図のようなものが感じられてくるはずです。
スティーブ・ジョブズがスタンフォード大の卒業式で語った「点と点をつなげる」という話にも通じてきますが、今週はあらためて必要なピースがそろってきたという実感が自然と湧いてくるかもしれません。
図と地
木星がさそり座から抜けきった今週は、あらためて一度落ち着いて、この1年間の自分を振り返る時間を持ってもいい頃合いです(抜ける前にやったという人はもう一度)。
そのために、ひとりきりで静かに過ごす時間も必要でしょう。この道はどこへ通じてゆくのか。
先の景色をすこしでも知っておきたいと気持ちはあるかもしれません。
ですがまずは、ここまで来た道を丁寧にたどっていく中で、自分が人生の分かれ道でいかなる動機に基づいて選択を行ってきたのか、偶然がいかに噛み合わさって自分の人生が成り立ってきたのか、それを1つずつ確かめていくことの方がはるかに大切なように思います。
サイクルとドラマには終わりがありますが、人生には終わりがなく、それゆえにこそ過去というものはドラマとなり得るものです。
その意味で、今週は、あなたの過去を単なる事実やおぼろげな記憶から、確かな傾向と予期せぬ偶然が重なったドラマに変えていくことで、終わりなき人生を歩んでいくための力を蓄えていくといいでしょう。
今週のキーワード
『知覚の扉』