さそり座
月とつがいになる
ルナティック
今週のさそり座は、月に狂うもののごとし。あるいは、自らの中の暗い衝動を死に物狂いで貫き通し、暗さを突き抜けた先でいよいよ癒されていくような星回り。
秋の月がしだいに冬の月に移ってゆく頃、月はますます寂しいもの、冷えたもの、孤立的なものとしての趣きを深めていきます。
例えば「欠けてかけて月もなくなる夜寒哉」という与謝蕪村の句などは、いよいよアナザーワールドとしての月に狂い始めている境界線上にあるでしょうか。
言ってしまえば、さそり座には「片割れ」が必要なのです。いつも、どこか手の届かないところにあるようなところに、それを求めて、手を伸ばしていく時、さそり座はさそり座に成っていくのです。
私たちは月的なものと“つがい”になることで、やっと一対の何かになれる。
さそり座で新月が起こり、1年間のさそり座木星期の最期を迎える今週は、まさにそうして「片割れ」を否応なしに求めていくタイミング。
うまくいけば、生々しいまでに「境」を感じることができるはずです。
自己内対話の促進
人間は言葉に支配されている動物であり、頭の中にはつねに言葉が流れています。
「占いって何の意味があるの?」と聞かれて、以前よく「自己内対話の促進」と答えていたのですが、悩んでいるときというのは、たいてい自己内対話が停滞し、ネガティブな状態のままグルグルしています。
人間は1日5万語も「ひとりごと」を無意識に発していると言われていますから、その停滞がいかにカオスな状況を作り出すか、なんとなくお分かりなるかと思います。そして、一度そうなってしまった心を鎮めるには、瞑想するか、何か言葉を紡いでみるのが有効です。
言葉を選んで紡いでいると、グルグルはやがてクルクルとなり、ゆったりとした言葉の流れの中で、意味がまとまり始め、やがて落ち着くべき場所を得ていく。それが「片割れに向けて手を伸ばす」ということでもあるのです。
今週は、世間とは少し違うリズムで、自分なりの心の落ち着き先を探っていきましょう。
今週のキーワード
深い河