さそり座
世界の中心と愛
世界の中心を見つけ出す
今週のさそり座の星回りは「セカチュー」のごとし。あるいは、愛することと愛されることとをめぐる綱引きをしていくこと。
「世界の中心で、愛をさけぶ」という作品タイトルの小説が映画やドラマ、舞台にもなって一種の社会現象になったのは2000年代半ばですから、もう十年以上も前の出来事になりますが、この作品はどこか今週のあなたの指針を示してくれているようでもあります。
ちなみにタイトルにある「世界の中心」とはどこを指しているのか疑問に感じると思いますが、ドラマ版では「世界の中心」という言葉は一度しか出てきません。
そこでは主人公である亜紀とサクの2人が、
「アボリジニの聖地ってウルルって言うらしいよ」
「アボリジニにとって、世界のへそとか…中心とか。そういう場所らしいよ。行ってみたいなぁ」
という会話をしていて、亜紀はそんなウルル(エアーズロック)やアボリジニの世界観に興味を持つのですが、ほどなくして白血病を発症してしまい、2人にとっての憧れの場所は一転して哀しみの象徴になってしまいます。
ただ、ウルルはアボリジニにとっての聖地ではあっても、2人にとって本当の意味での聖地とは言い難いでしょう。
実はこの作品では、その後も明確に2人にとっての世界の中心がここであるとはされていないのですが、逆に言えば、観る側や読む側が各自の視点でそれを見つけ出していくことに醍醐味があるのでしょう。
そして今週のあなたのテーマもまた、自分にとっての世界の中心を周囲のどこかに見つけ出していくことにあるのだと言えるでしょう。
配役と自問
「「人生はそのまま大河演劇であり、私たち自身はセリフを言い、演技論(という名の幸福論)を身につけ、そのとめどない劇の流れの中で、じぶんの配役が何であるかを知るために、「自分はどこから来たのか?そしてどこへ行こうとしているのか。」と自問しつづけている。」(寺山修司、『地下想像力―評論集』)
そう、「世界の中心」を見出す試みというのは、自分、または“自分たち”はどこへ行こうとしているのか? という自問自答の繰り返しに他なりません。
亜紀は病気のため、ウルルには行けなかった。けれど、本当の意味での世界の中心、つまりサクと共に居られる場所に辿り着けたはずです。
あなたにとっては、それはどこか。誰と共に、どんな風にいられる場所なのか。そんなことを今週は直視していけるようなタイミングとなっていけばよいのですが。
今週のキーワード
共に居られる場所=ずっと探し続けていく場所