いて座
人生とともに在るという感覚
川の流れのように
今週のいて座は、「われら十二歳の夏にしあれば川鋭し」(清水哲男)という句のごとし。あるいは、自分の人生という「川」の流れとともにあるうちに、自然と流れ着くところへ流れていくような星回り。
注釈によれば、作者は幼少期に「山口県の寒村に暮らし家はとても貧乏だったけれど、精神的にはこのころが一番充実していたような気がする」とある。「12歳の夏」とはそのような幼少期の真っ盛りだったのでしょう。
またその後には、
「夏ともなれば、川での魚釣り。他には、することもなかった。かんかん照りのなかで釣り糸を垂らしていると、ぼおっとしてくる。そんな状況のなかでは、次第に川との共生感が生まれてくるのだった。川水はどこまでも清冽で、一分と手を漬けていられないほどの冷たさ。鋭いとしか言いようのない水の流れ。」
と綴られています。
当時の作者はそんな川とともに生きてあることを誇りに思っていたのでしょう。もはや自分を育んでくれた川は記憶の彼方に流れ去ってしまったが、どっこい人生は続いている。これまでも、そしてこれからもまた同じように、川は私と共にあり続けるだろう。
人は川を見るとき、誰もが子供に戻るのかもしれません。あなたの人生はどんな川の流れと共にありますか? 今週はおのずとそんな振り返りをしていくことになるでしょう。
川は逆巻く
過去の自分やどうしても許せなかったことが、まるでかくれんぼのように現在のあなたを取り巻く状況や、これから起きてくるだろう事態の中に潜んでいるのだと考えてみてください。
つまり隠れているのも自分ならば、それを見つけていくのもまた自分でしかない。すると次第に、未来は過去の映った鏡となり、過去は未来の記憶として見えてくるでしょう。
そういう通常の「時間の流れ」が逆流しているかのような感覚の中で、あなたはかつて苦しかった頃、何をこの宇宙に誓ったのかを思い出し、そうして初心に返っていくことで再び一歩二歩と前進していく力強さを得ていくのです。
ある意味「初心に返る」という言葉は、あなたの場合、「後付け」なんです。
かくれんぼしている自分を見つけるため、前に足を踏み出していく中で、後から「そうか、自分の初心て、こんなものだったのかなあ」ということが分かってくる。まだまだ自分はそんな道の途上にいるのだと、今改めて思い知ってゆく時なのでしょう。
今週のいて座へのキーワード
初心に返る