いて座
近くて遠い⇔遠くて近い
「人間には仲間が必要だ―そばにいる仲間が」
今週のいて座は、『ハツカネズミと人間』の“ウサギをたくさん飼う話”のごとし。あるいは、希望を抱くのに必要なストーリーを語ったり語られたりしていくような星回り。
世界大恐慌時のカリフォルニアを舞台としたスタインベックの小説『ハツカネズミと人間』では、小柄で頭の切れるジョージと知的障害を持つ怪力の大男レニーという、農場を渡り歩く季節労働者の2人が、新しい農場に着いてひと稼ぎすると町へ出てそれを使い果たすという生活を繰り返していました。
家族もなく、家もなく、人生でこれ以上何かを期待することもできない。2人は自分たちを「この世でいちばんさびしい人間」だと思っているのですが、一方で、ジョージはレニーに「おれたちはふつうの宿無しとはちがう」と言い聞かせ続けます。
レニーはふわふわしたものをなでるのが好きで、自分の怪力を自覚していないがゆえに、行く先々で問題を起こしてきたのですが、そんな中ジョージは、いつかは小さな家と土地を買って自給自足し、ウサギをたくさん飼ってレニーになでさせてやるんだ、という夢を持っていました。
しかし小説では、貧しさに引きずられてどんどん暗い方へ転がり落ちていき、ジョージがこの夢を自分でも信じられなくなったとき、すべてが雲散霧消してしまいます。なぜなら、ジョージはレニーと共有していた希望があったからこそ、どんな状況であれ前に進むことができたから。夢の話は、レニーを慰めるためであると同時に、自分自身を励ますためでもあったのです。
そして、今のあなたであれば、誰の心の中にもレニーがいて、“ウサギをたくさん飼う話”をしてもらう必要があるのだということがよく分かるのではないでしょうか。あるいは、誰しもが時にジョージとなって、仲間にウサギの話をして元気づけてやることで自分もまた歩みを止めずにいられるのだと。
2月14日にいて座から数えて「コミュニケーション」を意味する3番目のみずがめ座で火星と冥王星とが重なって「根本的なトリガー」が強調されていく今週のあなたもまた、いま自分がどちらの側に立っているのか、どんな希望に生かされているのかを、改めて確認していくことになるかも知れません。
小さな、遠い世界からのプレゼント
1977年に打ち上げられた2機のボイジャー探査機には、電子メッセージが積載されていましたが、そこには当時のアメリカ大統領ジミー・カーターの次のようなメッセージも含まれていました。
これは小さな、遠い世界からのプレゼントで、われわれの音・科学・画像・音楽・考え・感じ方を表したものです。私たちの死後も、本記録だけは生き延び、皆さんの元に届くことで、皆さんの想像の中に再び私たちがよみがえることができれば幸いです。
例えば、人類の送った音を聞いた異星人が、そこで初めて「愛」という感情を知る、といったことも全くありえない話ではないでしょう。逆も然り。それが音であれ、言葉であれ、何らかのイメージであれ、全宇宙を覆う暗黒の圧倒的な断絶を乗り越えてあなたの元へ届いたメッセージであり、そうであるからこそ、そこであなたは新しい感情と出会い、希望を抱くことができるのです。
今週のいて座もまた、もし今あなたに何らかの新しい感情を起こさせてくれそうな相手がいるのなら、その時は、自分から相手に伝えておきたいメッセージとは何だろうかと考えてみてください。
いて座の今週のキーワード
新たな感情を知れる可能性こそ希望の源