いて座
大きく飽きる
これからは言葉よりも「モノ」にこだわろう
今週のいて座は、ネットを捨て、旅に出よう。あるいは、使い慣れた言葉やキーワードを脇に置いて、新しい「モノ」に触れていこうとするような星回り。
近年、ネットのアルゴリズムが本人が望む情報に最適化していくため、自分が見たい情報しか見えなくなる「フィルターバブル」が起きたり(「泡」に包まれたかのように)、主にSNSなどで似た者同士で共感し合うことで、意見や思想の偏りが増幅されたり、自分の意見や思想が正解であるかのごとく勘違いする「エコーチェンバー」と呼ばれる現象が、日常茶飯事のように見られるようになってきました。
こうした傾向の増加は、ネットでつねに「炎上」や「つるし上げ」が起き続けていることと表裏一体の関係にありますが、これは言葉だけでは決して争いや不和を乗り越えることはできないという事実を、他のなによりも明らかに私たちに突きつけているように思います。
フランスの哲学者のミシェル・フーコーの著作に『言葉と物―人文科学の考古学―』というのがありますが、要は人間の現実というのは突き詰めれば言葉とモノからできているという話で、先のような現状を考えると、いかに「モノ」にこだわっていけるかがますます問われる時代になってきているのだとも言えます(このあたりの話は東浩紀が『弱いつながり―検索ワードを探す旅―』という著書の中で論じていました)。
つまり、ネットで検索できるような言葉や、SNSやネット上の記事などで書かれたストーリーよりも、自分が直接出合ったり、触れ合ったりした「モノ=言葉の外部にあるもの」を定期的に取り入れていくことで、自分のネット環境(検索する言葉やアクセスするリンク先)を更新していく必要があるのだ、と。
そして1月21日にいて座から数えて「情報の受発信」を意味する3番目のみずがめ座へと冥王星が移っていく今週のあなたもまた、そうした大々的な更新のタイミングを迎えつつあるのだと言えるでしょう。
「自発的隷従」を前にして
一時的な安寧を得るために、個の力ではどうしても抗いがたい状況を言い訳にして、誰かに操られるままになる。しかも自分から進んでそうなることに慣れていく。
16世紀の早熟の天才思想家ラ・ボエシはそんな人間の性質を「自発的隷従」と呼びましたが、それは中世に限らず、むしろ現代において顕著に見られる傾向にあるように思います。
ただ一方で、人間には一つの状態が長く続き、極まると「飽きる」、そして真逆の状態へと反転するという性質もあるようです。その意味で今週のいて座のテーマは、よりつまらない選択の連続に、言葉の世界の閉そく性に「飽きる」ことにあるのだ、という風にも言い換えられるかも知れません。
いて座の今週のキーワード
言葉の外部にあるものの追求