いて座
戦線を拡大せよ
火種を絶やすことなかれ
今週のいて座は、『埋火に妻や花月の情鈍し』(飯田蛇笏)という句のごとし。あるいは、破格の熱情を自分自身だけでなく、他者にまで求めていくような星回り。
「埋火(うずみび)」とは、火鉢や囲炉裏で燃えている炭に灰をかぶせ、長時間燃え尽きないように火種として取っておくこと。寒い日に、埋火に手をかざして暖を取りながら妻が虚ろな表情でボーっとしている。それが何事にも情の鈍そうな様子に映るのだと、一人ごちている夫の立場を詠った句です。
「花月の情」とは、男女の情愛を形容して使われるのが一般的ですが、必ずしもそうとは限らないはず。また、文字通り花や月に対する風雅の心を指すこともありますが、掲句の場合、そこまで狭量なものでもないでしょう。
おそらく夫に対し、自然に対し、文芸に対し、いやそもそも人生に対して、熱く濃い情をもっているどころか、その逆でどこか冷ややかに感じられてしょうがないのだ、といったところでしょうか。
とはいえ、この妻が並外れて冷ややかという訳でもなく、むしろ普通の人以上にそのことを責める夫の側こそ、破格に熱情的であり、他の誰にも増して妻に期待している人間なのかも知れません。
その意味で、11月27日にいて座から数えて「パートナーシップ」を意味する7番目のふたご座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、いつも以上に他者に対する期待感や物足りなさが高まっていきやすいでしょう。
藪蛇になるを辞さず
今週のあなたは周りから見るといつも以上に浮いていると言うか、かなりぶっ飛んだ人のように見られるかも知れません(それが本来のいて座らしさでもあるのですが)。
しかし、たとえバカバカしい思いつきのように見えたとしても、自分のもとにやってきた思いや感情がもしあるのなら、それを無心で追いかけてみるという経験そのものが今のあなたには必要なのでしょう。
大事なのは、アテが外れてがっかりしたり、可能性を見失って途方に暮れたりしても歩みを止めないこと。歩めば歩むほど、あなたのおバカに付き合ってくれる仲間や協力者が現われ、自分ひとりでは想像もできなかったようなチャンスが広がっていくはず。
今週のいて座は、かりに進んでいこうとしている先が藪の中、未知のふところであったとしても、臆さず前を向いて突き進んでいってください。
いて座の今週のキーワード
摩擦の火