いて座
光あれ
宇宙の本体は?
今週のいて座は、目指せ「第三の直観」。あるいは、これまで自然に行使してきた直観を一段深めていこうとするような星回り。
世界的な数学者である岡潔は、かつて直観には3種類あると述べていました(『春宵十話』)。いわく、「第一種は人に実在感や肯定感を与えるもの」で、「信じるという働きがここから出てくるもの」でもあり、「精神集中から精神統一へという昔の剣術家の努力もこの働きを十分に出させるのを目指していた」のだといいます。
また、「第二種の直観は、たとえば俳句や歌の良いしらべを良いと断定する直観」で、「これがあるゆえに真善美が存在し得る」のであり、「学問や芸術もここに基礎をおいている」のだと述べます。
そして第三種の直観は、例えば「立ち上がろう」と思ったその発端の気持ちそのものであったり、「無意識に言ったり行動したりした後からそれに気づく、そんな直観」で、「この種の直観は自然界には実に多」く、ここまで行くと「一つの生涯を一つの行為にあてることができる」のだと言います。
人間がこれらを経験していこうとすれば、順序として、まず第一種、第二種の直観を養って、それから第三種に入れるかどうかということになり、最後の直観を指して岡は次のように結んでいます。
この直観があれば生涯は瞬間的現象にすぎないものとなり、また一つの行為を実践する一つの機会としか感じられない。そしてその底には宇宙の本体が悠久なものだという確信が伴っているのである。
11月24日に自分自身の星座であるいて座へと「集中力」を司る火星が移動していく今週のあなたもまた、そうしたある種の運命的瞬間としての「第三の直観」へとイメージしてみるといいでしょう。
4次元的なプロセス
例えば、量子力学の父ニールス・ボーアが原子レベルのモデルを考えていたとき、「動く数学的なモデル」を作って思案を重ねていたそうですが、20世紀に入ってから科学やデザイン、建築や芸術などさまざまな分野でこうした「動くモデル」が発明・発見のために用いられるようになってきました。
その中に「ガストロフルックス」というモデルがあります。平面だと16の花弁をもつ花を連想させる形をしているのですが、これを中心部で絞りながら球体にしていくと、二重の球が生じてきて、それがさらに内側へとたくし込まれて拡大し、もう一度、外側へと循環していきます。こうした運動は「4次元なプロセス」とも呼ばれていますが、じつは生物学で「内臓化」と呼んでいるものとも酷似しているのだそうです。
「内臓化(Gastrulation)」は、ほとんどの動物の胚発生の初期段階で見られるもので、これによって胚は分化を開始し、異なる細胞系統を確立して、背腹とか前後など体の基本軸を設定していくのだとか。つまり、生物が生物として進化していく際には必ずこの動きが必要となってくる訳です。
今週のいて座もまた、静止した現象をいじくり回すのではなく、あくまで動きのなかに現れてくるものを直観的に受け取っていくべし。
いて座の今週のキーワード
「たたみこまれて内臓化する」動き