いて座
コンタクトのハードルを下げる
脱・閉鎖宇宙
今週のいて座は、隣りの家に気軽にお醤油を借りにいくかのよう。あるいは、ささやかながらも確実に再生への希望を取り戻すための一手を打っていくような星回り。
これといった産業もなく、税収もギリギリで持ちこたえているような地域や共同体を、ひとつの閉鎖宇宙にしてしまわないためには、起死回生の振興策や「右肩上がりの成長曲線」のような幻想を掲げることより、まず地域の人たちがお互いにコミュニケーションできて、助け合えるような場をつくっていくことが大事なのだということは、近年のコミュニティデザインの分野ではよく言われていることです。
というのも、人体であれ共同体であれ、悪い状況がさらに悪循環に入っていくきっかけとなるのは、会話のハードルが上がって、個々がバラバラになってしまうことであり、その意味で、毎日のちょっとした気候の変化や玄関の鉢植えについて会話するようなごく軽いコミュニケーションの回復こそが生命線となっていくのだそう。
たとえ行政が破綻したとしても、人々の暮らしは続いていく。そのことを、私たち日本人は3.11やコロナ禍でつくづく痛感してきたはず。1月15日にいて座から数えて「ネットワーク」を意味する11番目のてんびん座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、そうした生命線を改めて繋いだり、太くしてたりするべく、ちょっとした声かけや連絡を意図的に取ってみるといいでしょう。
キルティング・ビー
古代から糸紡ぎや縫い物、手芸、機織りなどは女性の手仕事として連綿と受け継がれ、勤労のモラルとも結びつけられてきましたが、例えば18世紀末に書かれた『西洋事物起源』には、「(編み物は)会話を妨げず、気を散らせることもなく、空想にふけりながら仕事をすることもできる」と書かれており、従来戒められてきた「おしゃべり」や「空想」が手仕事に付き物であると指摘されているばかりか、容認されていたことがよく分かります。
実際、手仕事は女性同士が集まっておしゃべりしながら行うのに都合がよく、とりわけアメリカの開拓地で行われてきた、1つのキルト作品を共に仕上げる「キルティング・ビー」は女性同士の絆を深める貴重な場でもありました。
キルトはそれぞれが持ち寄った端切れをみんなで一針一針縫い合わせ、時にはそこに著名やメッセージを入れて作られるのですが、それはまさに一人ひとりの思いをつなぎ合わせることであり、そうして作られたフレンドシップは新生活に踏み出した女性たちにとって、その実用性以上に大切な精神の拠り所として機能していたのではないでしょうか。
今週のいて座もまた、当座の収入や目先の利益よりも、どうしたら精神的な満足が得られるか、またそのために必要な繋がりをいかに結んでいくかを追求してみるといいでしょう。
いて座の今週のキーワード
ひとつの結び目として私