いて座
現実的であることと常識的であることの違い
脱人間中心主義化の波
今週のいて座は、蜂の世界の常識を人間社会に持ち出すよう。あるいは、ともすると極端な方向に偏りがちな常識を相対化していこうとするような星回り。
今のフェミニズムは男女の間に戦争を起こそうとする、現実離れしたイデオロギーのようになっている節がありますが、杉浦康平の『養蜂記』というエッセイを読んでいると、生物学的には雌の方が優れているというのがよく分かってきます。
雄の蜂というのは、生殖用に雌に作られるんです。そして、一匹の処女の女王に何百匹の中の一匹だけが交尾する。それも、交尾が終わる頃には雄蜂の腰から下は全部ちぎれて、雌の中に吸い込まれていく。それで女王は、3、4年のあいだに十万個近い卵を産み続ける。あとの雄蜂はまったくの居候なんです。
そんな彼らも、夏をすぎて、秋になる頃には、みんな死んでしまう。人間も今でこそ男女同権などと綺麗事にのっとっていますが、バイオテクノロジーが発達すれば、一番いい奴の精子を残して、あとの男はいらなくなってしまうかも知れません。そうなれば、男性は自分たちの権利を必死になって訴えるようになるでしょう。
昔の飢饉なんかの記録を読んでも、女の人というのはほとんど餓死しない。そういうギリギリの状況で真っ先に死んでいくのは決まって男性なんですよね。
その意味で、16日にいて座から数えて「世間の決まり事」を意味する10番目のおとめ座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、知りうる限りの過去の人間的な常識をひょいと乗り越えていくべし。
ケプラーの場合
かつてマーク・トゥエインは「あなたの大きな夢を萎えさせるような人間には近づくな。たいしたことない人間ほど人の夢にケチをつけたがるものだ。」と述べましたが、今の日本社会はどこもかしこも他人にケチをつけて回る人間ばかりのように感じます。
ですが、歴史を振り返れば、時にどんなケチも近づけさせないくらい「大きな夢」を作り出してしまった人たちを目の当たりにすることができる訳で、例えばその内の1人としてケプラーの名が挙げられるでしょう。
科学革命期のドイツの天文学者であり、惑星運動の三法則の発見者である彼の名を知らない人は今ではほとんどいませんが、そもそも彼の性格は今日の人が想像するような厳格な合理主義者というよりも、ピタゴラスの天界音楽調和説やプラトンの正多面体のイデアを追慕し、それらに基づいて宇宙を説明しきってやろうなどと大それた望みを抱いた夢想者のそれでした。
今週のいて座もまた、それが真実だと思い込みがちな「常識=平凡な当然さ」を打ち破っていくことを決意することがひとつのテーマとなっていくのだと言えるでしょう。
いて座の今週のキーワード
夢見る権利は手放さない