いて座
不惑ゆえに猛
※2021年3月1日~3月7日の週間占いは、公開を延期とさせていただきます。(2021年2月28日追記)
運気とひとつになる
今週のいて座は、「初蝶のいきほひ猛に見ゆる哉」(小林一茶)という句のごとし。あるいは、自分を取り巻く大きな流れの一部となっていこうとするような星回り。
掲句を詠んだ年の句日記のはじめに、作者は「今歳革命の年と称す。つらつら四十二年、他国に星霜を送る」と書き留めていますが、長年の放浪がようやくおさまりつつある時期でもあり、40歳を過ぎてなお江戸で独り暮らしをしているみずからの運命を見定めようとしていたのかも知れません。
そのせいもあってか、春の蝶といえば、可憐で、やさしく、明るみにおびたものとして詠まれるのが通例であるのに対し、「いきほひ猛に見ゆる」という激しく野心に満ちた調子は異様ですし、それはこの時期の作者がいかに特殊であったかを物語っているように感じます。
つまり、それほどに放浪にやつれていた身が、なんとなく鎮まってきたという復調の気配を作者が実感していたということであり、そんな時季の勢力を蝶に見たのでしょう。
今年はじめての蝶は、ひらひらとはしていても、猛々しい勢いもまた確かに宿っていたのです。27日にいて座から数えて「捧げるべきもの」を意味する10番目のおとめ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、みずからを捧げていくべき運命の輪郭がひとつ明確になっていくかも知れません。
「四十にして惑わず」の本来の意図
『論語』を読んだことはなくても、「四十にして惑わず」という孔子の言葉は聞いたことがあるはず。
「子曰わく、吾十五にして学に志し、三十にして立ち、四十にして惑わず、五十にして天命を知る。」
30歳でひとり立ちして、40歳で人生に迷いがなくなった、と。前者はともかく、後者まで言い切れる人が果たして世の中にどれだけいるでしょうか。ここでやっぱり孔子はそう言い切れる特別な人間で、自分とは違うんだなと思ってしまった人は少し待って下さい。
というのも古代において「惑」という字は「区切る」という意味で使われており、したがって先の一文も、「四十にして区切らず」という意味になってくるからです。
転職市場における35歳限界説にしてもそうですが、40歳くらいになってくると、どうも人は自分を区切ったり固めたりしがちで、自分ができるのはせいぜいこれくらいとか、自分の専門外のことはできるはずがないなどとと思い込み始める訳ですが、あえてそういう自己限定をぶち壊してみようというのが、孔子の意図だったのでしょう。
いて座にとって今週は、そんな「不惑」の壁と対峙していくタイミングなのだと言えそうです。
今週のキーワード
「限界などない」と改めて言い放つ