いて座
適度に無駄のある自然
美しさを交えていくということ
今週のいて座は、柳宗悦における「他力の美しさ」という言葉のごとし。すなわち、改めて生活に美しさを結びつけていこうとするような星回り。
日常の道具の美しさを指摘した最初の人物である柳宗悦は、「人間の真価はその日常の暮しの中に最も正直に示される」という考えから民衆的工芸を「民藝」と名付けましたが、その本質について『手仕事の日本』の中で次のように説明しています。
いわく、実用ということに縛られて作られた実用品は、自由な美術が尊ばれた時代において「不自由な芸術」と呼ばれたものですが、不思議なことに「かかる不自由さがあるために、かえって現れてくる美しさがある」のであると。それはなぜかと言うと、「不自由とか束縛とかいうのは、人間の立場からする嘆きであって、自然の立場に帰って」見てみれば、「用途に適うということは必然の要求に応じる」ことであり、「材料の性質に制約せられるとは、自然の贈物に任せきる」ということでもある。つまり、「人間からすると不自由」でも「自然からすると一番当然な道を歩く」ことを意味し、そこには人間を越えた力としての「他力の美しさ」が宿るのだ、と。
人間の身勝手やわがままが行き過ぎなところまで押し進められてしまったことでそのしっぺ返しを受けている現代社会において、自力で立つ美術品ではなくこうした他力という視点から実用品を捉え直し、実用に美しさを交えていくという考え方はまさに時代を先取りしたものだったと言えるかも知れません。
2月18日にいて座から数えて「働き方や現場」を意味する6番目のおうし座に位置する天王星(転倒)が土星(常識)と90度の角度をとって激しくぶつかりあっていく今週のあなたもまた、コスパや効率重視の考え方をどれだけ生活のなかでひっくり返していけるかどうかが問われていくでしょう。
掃除の幻想
ひとつ思いきったことを言ってしまえば、掃除をすれば、はたまた合理主義でスパっと無駄を省けば、何事もスッキリ綺麗になるというのは幻想なのではないでしょうか?
確かに、実際に掃除をすれば確かにこざっぱりはする。けれど綺麗にしてサッパリしてしまうことが必ずしもよいことであるかどうかは、ケースバイケースでしょう。
例えば綺麗にするという行為が、ただ見たくないものを視界の外へと追いやることとイコールである場合には、掃除は無責任さを誘発します。また、「ごみ」だと思って捨てたものの真価を、あなたが見いだせなかった場合、掃除は損失となります。
今週のあなたのテーマは、自分の生活に責任をもつこと、あるいは、いつの間にか失ってしまったものの価値を再認識することのいずれかなのだと言えるかも知れません。
今週のキーワード
ごみか宝の原石か