いて座
創造的な場所にいること
うさんくさくて熱い場所
今週のいて座は、17世紀後半のイギリスにおける「コーヒーハウス」のごとし。あるいは、みずから熱い議論や意見交換を求めていこうとするような星回り。
飲み物としてのコーヒーの起源は14世紀のイエメンと考えられており、15世紀にはアラブ世界全体に浸透しましたが、いわゆるカフェや喫茶店としての「コーヒーハウス」がヨーロッパ全体へと広がっていったきっかけは、1652年にロンドンでの開店を機にイギリスで起こった大ブームでした。
ただし、コーヒーはなぜか潜在的に宗教や伝統的な社会制度や価値観とは折り合いが悪いようで、大ブームになっていた当時でも反社会的かつ反キリスト教的な「麻薬」であるとか、青少年やの荒廃を招いているのではないかという認識も根深くあったようです。
では、実際のところコーヒーハウスがどうしようもなく「非生産的」な場で会ったかと言えば、答えはノーでしょう。ニュートンが『プリンキピア(自然哲学の数学的諸原理)』で披露したアイデアのほとんどはコーヒーハウスで芽吹いたものであったし、アダム・スミスの『国富論』の原稿もやはりコーヒーハウスで書かれた他、コーヒーハウスではしばしば熱い議論が繰り広げられ、異分野の人たちが集まって意見交換をする場となっており、『ペニー・ユニバーシティ(一銭大学)』などという愛称まであったのだとか。
同様に、22日にいて座から数えて「生きた交流」を意味する3番目のみずがめ座の始まりで木星と土星の大会合が起きていく今のあなたもまた、そんなかつてのコーヒーハウスのように、クリエイティブな発想を生み出される場へと自主的にアクセスしていけるかが問われていくはず。
気が狂ったと思われてもいい
クリエイティブな交流と言えば、明恵(みょうえ)という鎌倉時代の高僧の有名なエピソードに、島に手紙を出した話がありました。しかもラブレター、宛て名は「島殿」。
これは和歌山県にある「苅磨(かるま)の島」のことらしく、もともと明恵が子供の頃によく遊びに行っていたそうで、ある時にその島の桜の大木を思い出して、いてもたってもいられなくなって手紙を出したのだそうです。
こんな風に書くと、ずいぶん酔狂なはぐれ者もいたものだな、と思われるかも知れませんが、当時の明恵はたくさんの弟子をもつそれなりの高い地位にあり、島などへ手紙を出したとなれば気が狂った人間だと批判されることは大いに承知していたようです。それでも、「仏心を学ぶに、人界だけでなく自然を友として何の咎めがあるか、もはや自分は気が狂ったと思われてもよい」と、そう思い定め、やっとの思いで手紙を出したのだと思います。
今週のいて座もまた、偏見や誤解を恐れずまず自分の方からこころも開いていくつもりで過ごしていくべし。
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