いて座
ふたつで一つ
ほのぼの真理
今週のいて座は、安達哲の漫画『バカ姉妹』の姉弟のごとし。あるいは、中庸的な態度を心がけていくような星回り。
タイトル通り、この漫画は巣鴨という街で両親と離れて二人だけで暮らす姉のおねいと弟の純一郎という双子の幼児と、それを取り巻く住民たちのお話。彼ら姉妹は確かにバカというか天然なのですが、さりとてただの天然という訳でもなく、はなから悟りを得ていて、しかもそのことをすっかり忘れ去っているような存在として描かれています。
彼らを幼児と思って近づいてくる欲望まみれの大人たちは、ふだん社会で使っている方便やおためごかし、忖度をそのまま彼らに繰り出してくるのですが、二人はそうした発言や行動の真意をいともやすやすと見抜いてしまう。しかも、声を荒げてそれを指摘したり、歯向かったりするのでなく、ただじっと見ているのだから、余計に恐ろしい。
例えば、双子を可愛がる母の友人・志津香さんが二人を叱ろうと、育児書で得た「まず褒めてから叱る」を忠実に実行してみせた時も、二人はピタリと動きを止めて志津香さんを見つめ、心のなかで「あやつっている……」とつぶやいてみせるのですが、こういう真似は常人にはなかなかできません。
それはなぜか。どうしたって関わる相手に期待しすぎてしまうか、少しも気を許してはならないと思い込むかのどちらかに偏りすぎてしまうから。姉妹のように、その中間にふんわりと留まっていられないのです。
31日にいて座から数えて「自給自足」を意味する6番目のおうし座で、「根本的な風通し」の星である天王星とともに満月を迎えていく今週のあなたもまた、自分の何を律し、どこに風を通していくべきか、姉妹を見習いつつよく振り返っていくといいでしょう。
両性具有性をやしなう
インド独立の父・ガンディーがその晩年、若い女性の世話をすることを通して、自分の中の母性を育てていこうとしたとのだと言います。ガンディーに限らず、男性は女性のようになりえるし、当然その逆のケースもまた然りでしょう。
特定の性や役割に自己を同一化していると、どうしても相手にもそれを補う役割や型にはまった反応を求めがちですし、何より自分の許せる範囲がどんどん狭くなっていきます。
逆に人が自分の内なる両性具有性を育て、相手にもそれを認めることができていく時、関係は自然と豊かになっていきますし、他者の許容量も大きく広がっていくはずです。
逆に言えば、大半の人というのは大人になって、自分を特定のジェンダーや社会的立場に縛り付けるようになることで、世界を小さくしがらみの多いものにしてしまっているのかも知れません。
ガンディーではないですが、今週は自分自身や自分の生きる世界をいかに広く大きく豊かにしていけるという問題を、まずは自分の足元から考え直してみてください。
今週のキーワード
内なる異性に問いかける