いて座
力の放出
群衆のコントラスト
今週のいて座は、「暗く暑く大群衆と花火待つ」(西東三鬼)という句のごとし。あるいは、じりじりとため込んだ力の爆発を待ち望んでいくような星回り。
どこか懐かしさを感じさせる一句。もう暗がりの中で押し合いへし合いしながら、じっと花火が打ちあがるのを待つような情景は見られなくなってしまったように思います。もちろん、トイレに並ぶ長蛇の列やら駅前の混雑自体は存在するのですが、そこには特に期待感の膨らみに伴う一体感のようなものはないからです。
花火に照らされた人々の顔が不思議と明るく想像されるのは、花火にまだ救いがあったからだと思いますが、それは戦後まもない頃の句だったということも関係しているでしょう。
同じ作者が戦前に詠んだ句に、「河黒し暑き群衆に友を見ず」というものがありますが、同じ群衆でもこうも違うものかと感じるほどに、こちらには救いが乏しく虚無が濃い。
これを都市の陰翳と捉えるか、時代の移り変わりと見るかは読み手の勘所で違ってくるはずだけれど、どちらの群衆とともにありたいかは一目瞭然のはず。
26日未明にいて座から数えて「自分らしいスタンス」を意味する1番目のいて座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、自分がそうでありたいモデルが、明るい花火か黒い河のどちらなのかを改めて思い出していくことでしょう。
水面下のうごめき
この宇宙には基本的に「現状維持」などという状態は本当は存在しません。静的な調和すらも、実際には動的平衡のもとで成り立っているに過ぎないのです。
逆に言えば、「現状維持でいこう」という態度表明というのは、すべからく自分の内部や周囲との動的平衡を破壊していく宣戦布告に他なりません。
このことは、今のあなたならばよく分かるはず。
まだ際立った人生の変化や、特別なイベント事の最中にいる訳ではないにしても、水面下ではギリギリのところまで葛藤が高まっていたり、今にも決壊寸前のダムのように「その時」が迫っていることを。
今週は、目に見えない力の流れがどこへ向かっていこうとしているのか、頭で考えるのではなく心の奥深いところで感じてみてください。
今週のキーワード
どよめきと歓声