いて座
ゾーンに入る
回復の儀式
今週のいて座は、「胡坐してをればおのれも梅雨深し」(脇村禎徳)という句のごとし。あるいは、この世と向き合っていくための力を改めて強くしようとしていくような星回り。
いわゆる瞑想の際の姿勢には、結跏趺坐(けっかふざ)と半跏趺坐(はんか)と胡坐(あぐら)の3種類があります。悟りを開いた仏や座禅は結跏趺坐で、これは足の裏をあおむけにして両足を組む座り方で、慣れていないうちは5分でも続けるのが難しく感じるはず。
掲句の場合はふつうの胡坐であり、何気なくあぐらを組んだだけで、しとしとと長雨が降り続ける梅雨の深みに坐しているような気がして、シーンと心が静まってきたときの体験がおそらくベースになるのでしょう。
いて座の人たちというのは、つねに動き続けていないと死んでしまうようなところのありますが、それでも時どき静けさを感じることでエネルギーをチャージしていく必要があります。
6月6日に‟自分自身”のサインであるいて座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、スポーツでいうゾーンに入る感覚やフロー体験などに近い感覚をある種の‟回復の儀式”として体験していくことが、大きなテーマとなっていくでしょう。
宿命論の斥け方
思うようにいかない現実を前にしたとき、私たちはしばしば苛立ちや不機嫌をまき散らし、多くの他者を巻き込みながら、「うまく行くはずもなかった」といった悲観的な宿命論へと落ちていきます。ただし、哲学者のアランはそうした宿命論に対して次のように釘を差しています。
「宿命論によると、かつて存在しなかったものは、存在しえなかった(つまり、運命のうちに存在しえなかった)ことになる。これは後悔を追い払う。(中略)宿命論が後悔を追い払うのは、人ができることをすべて出し尽くした場合にかぎる」
つまり、過去の定めをバネにして行動し続ける限り、宿命論は悲劇的なものではないということで、これは目から鱗でした。
そういう意味では、ただいたずらに前を向いて進むばかりでなく、時には思い出したくない過去も含めて現在と繋げていくことができたとき、人は真の意味で強くなっていけるのかも知れません。
今週のキーワード
過去・現在・未来を包含する叙事詩的な感性