いて座
内なる炎が猛るまま
いのちのリズム
今週のいて座は、「心音を聴きゐる部屋の夏景色」(布川武男)という句のごとし。あるいは、これはという相手や対象がどこか輝いて見えてくるような星回り。
作者が医者であるところは明らかですが、その専門は小児科なのだとか。そう知ってから改めて掲句を見ると、静かな診察室とそこに差しこむ明るい色調のコントラストがますます鮮やかなものになってきます。
カーテンも、スリッパも、絨毯も。すっかり夏用に模様替えされ、そこに子どもの心臓の鼓動がさざなみのように広がっては、ホッと安堵の顔を浮かべる姿が思い浮かぶ。
子どもへの福祉や医療の充実は、社会の成熟の物差しであり良心の宿る場所でもありますが、それもそこで働く看護士や医師、また薬剤師などの日々の連綿たる働きぶりがあってこそ成り立っているのだということを、どこか思い起こさせる句でもあります。
作者にとっても、子どもの健康は社会の希望に他ならず、聴診器から聞こえる異常のない鼓動音はまさに輝くようないのちのリズムそのものであるはず。
23日にいて座から数えて「向きあうべき他者/対象」を意味する7番目のふたご座で、新月を迎えていく今週のあなたもまた、まず自分が誰に対して/何に対していま真剣に取り組まなければならないか、その目星がつけていくことが課題となってくるでしょう。
精妙な火
例えば子どもの心というのは、天使でもあると同時に悪魔でもありますが、アリストテレスなどはその著書の中で「子どもの心は火である」と述べています。
これは占星術の基本概念でもあるエレメント、すなわちこの世にあるものは火・土・風・水の四つの元素の混淆によって出来ており、そのうち火はもっとも精妙なエレメントであり、燃え盛り上昇していく力として位置付けられた力を指すのだということを踏まえると、その意味がより明確になってくるかと思います。
「精妙」というのはただ単に軽いという意味ではなくて、重さを持つほどに凝固することなく、形を持つほどに一定ではなく自由であるということ。
悪魔のように勢いよく燃え盛りつつ、天使のように精妙に自由であるように。それは誰のこころの中にもある子ども心(インナー・チャイルド)であり、同時に、いて座の人たちの向上心溢れる魂の姿でもあります。
今週はできるだけ、そんなあなたの中の火が自然と反応し、響きあうような相手や対象にこそ、きちんと集中していきたいところ。
今週のキーワード
火のあるところに人は集まる