いて座
日向に当てる
お陰様
今週のいて座は、「薄氷を掃き出してある日向かな」(藤松遊子)という句のごとし。あるいは、自分だけではどうすることもできないものを、誰か何かの力を借り、相応の時間をかけて対処していくような星回り。
冬の日向(ひなた)は、他の季節と比べて随分とありがたみがありますが、掲句ではそこに近くのみずたまりから掃き出されてある「薄氷(うすらい)」、つまり水の表面に張った薄い氷が何層にも重なってキラキラと光っているのでしょう。
「薄氷」は春の季語であり、空気はまだまだ冷えているとはいえ、昼の陽光はやがて薄氷をすべて溶かしていくはずです。
句の調子から、詠まれた空間が人(作者)の手によって普段からこまやかに手入れされている気配も伝わってきます。けれど、それでも太陽の力を借りなければどうすることもできないものがある。
そういう感覚は、今のいて座には特に大切なものであるように思います。
16日(日)にいて座から数えて「決して自分ではコントロールできない領域」を意味する12番目のさそり座で下弦の月(意識の危機)を迎えていく今週のあなたにとって、「薄氷」とは何に当たるか、そして日向とはどこなのか、思い当たる節を探してみるといいでしょう。
上手に息を引かれていくこと
なぜ生まれる、なぜ育つ、なぜ生きる、なぜ死ぬ。どの問いも、私たちにの手にあまる、決して結論の出ない問いです。分かっているのは、生きているものはいつか必ず死ぬということだけ。
しかし、このことすら自分だけは死ぬはずがないと思っている内は気付くことはできず、思いがけず深呼吸せざるを得なくなって初めて思い出してくるもの。
ここで留意すべきは、深い息とは、死の向こう側の空気をすこし肺の奥に入れ、その息に引かれていくときにやっと可能になるということ。
そしてそれこそが、ゆるぎない基盤をつくっていくための唯一の作法であり、そこに身を委ねていけるかを、今週のいて座は問われていくのだとも言えます。
今週のキーワード
宇宙との紐帯