いて座
頭からっぽの方が♪
地球の律動
今週のいて座は、「ねむる鳥しりとりしりとられつづく」(宮崎莉々香)という句のごとし。あるいは、からだの声を脳の芯まで響かせていくような星回り。
読む人によって意味のブレることをマイナス点をみなす57577の短歌と違って、より短い575の俳句はよく意味の分からない句を「元気がある」「飛躍を内包している」「異質の意味と意味とが軋み合っている」などプラスに評価する傾向があるように思います。
そして掲句もまた、よく意味が分からないようで分かる、ようで、やっぱりよく分からない一句と言えるでしょう。
夜はねむい。鳥もねむい。鳥がねむる間にも、しりとりは続けられ、しりが取られ続けていく。尻をベッドに敷いて眠る自分の寝息と、枝に尻を置いて眠るの鳥のお腹の律動と。それらは呼応しあいつつ、夜はどこまでも続いていくのだ。
「つづく」とは、何が続いているのか。言葉だろう、呼吸だろう、いや、生きとし生けるものを貫く地球のお腹の律動だろうか。けれど、それはやはり言葉にしようとした瞬間に、よく分からない抽象的な概念になってしまうでしょう。
13日(月)から14日(火)にかけて、いて座から数えて「生命力の発露」を意味する2番目のやぎ座で太陽と土星と冥王星が正確に邂逅していく今週のあなたもまた、脳の発する声ではなくあくまで体の発する声をどれだけ素直に聞き入れていくことができるかが大きなテーマとなっていくはずです。
粘菌の生存戦略
長年にわたって粘菌を研究している北海道大学の中垣俊之氏は、粘菌の生態から人間を振り返って、「私たちはあまりにも物事を中央司令的にコントロールしようとし過ぎているのではないか?」という問いを提示しています。
確かに私たちは、人生であれ仕事であれプライベートであれ、つねに「主体的に何かをしなくちゃいけない」という強迫観念を抱きがちです。
しかし一方で、いったん勝ちパターンを手に入れるとそれに固執してしまい、考え抜いた挙句に間違った選択をしてしまったり、状況把握ができずにパニックに陥って暴走してしまう、という経験を歴史的に何度も繰り返してきたのではないでしょうか。
その意味で、周囲に何かと頼りにされたり、自分がみんなを導かなければという意識を持ちやすいいて座には、先の中垣氏の指摘は非常に重要なものであるように思います。
つまり、粘菌は一度くっついたものはどこを切っても同じ粘菌であり、その中でいちいち誰が導くだとか、それは依存だなんて発想は一切持たない。あくまで、全体のうねりに任せて動いていく。そして、そうした非人間的発想によって、どんな苛酷な環境でも生き延びてきたのが粘菌なのです。
今週はそんな粘菌から大いにヒントを得ていくことができるかも知れません。
今週のキーワード
決める時は腹で決める