いて座
逸脱の決意
小鳥と籠
今週のいて座の星回りは、エミリー・ディキンスンの613番の詩のごとし。あるいは、「籠」からの逃亡を企てる魂のよう。
「みんなは わたしを散文に閉じ込めた」から始まるこの詩は、それ自体が19世紀アメリカにおける男性中心の、非常に因習的なピューリタン社会に対するディキンスンの果敢な告発であり、また自分の内なる声に素直に従うことを決意した意志表明の詩でもありました。先の続きを引用しましょう。
「子どものころにわたしを
納戸に閉じ込めたように
「おとなしくしていなさい」おとなしくですって! もしあの人たちが
わたしの頭のなかをのぞいたら
目まぐるしく回るさまを見て、小鳥を籠に
閉じ込めるように むずかしいと知るでしょう小鳥はその気になれば、風のように
軽やかに 籠をのがれ出て
ほら 自由よ と晴れやかに笑うでしょう
わたしも 小鳥と同じ」
12日(火)にいて座から数えて「穢れを祓うための営み」を意味する6番目のおうし座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、さながらディキンスンのように小鳥へとなり代わって、狭い思考領域や硬直した習慣やサイクルの‟外”へ飛び出していくことがテーマとなっていきそうです。
純然たる無法者であれ
詩人に限らず、芸術に関わってきた者たちの歴史を紐解けば、古来より「何を知り、何を為すべきか」という問いに対し社会が用意する答えや役割にハマらず、余計なことばかり知りたがり、やりたがる者たちによって、「魂」の多様性は耕され、育まれてきました。
例えば日本神話においても、日本で最初に和歌を詠んだとされる芸術神スサノオは、神話においてしばしば無法者や乱暴者とされ、規定された定位置から追放されてフラフラとさまようことで、創造性を開花させ、その種を撒いていきました。
今週は「~すべき」といった意識の呪縛をできる限りほどいてあげて、精神に幾らかの「逸脱」をもたらすこともまた心がけてみて下さい。
今週のキーワード
スサノオ