いて座
生きるを遊ぶ
世界遊戯としての呼吸ということ
今週のいて座は、「かかる世に何を以て楽しみとして生きるか」という自問に「呼吸するも一つの快楽なり」と答えた西田幾多郎のごとし。あるいは、みずからの呼吸を蔑ろにするのを毅然とやめていくような星回り。
現代人のほとんどは「過換気症」的な状態にあると言われています。これは過度なストレスで身体が興奮状態にあるときに息を吸い過ぎて苦しくなってしまうといういわゆる過呼吸状態に近く、ひどい場合には手足がしびれたり、意識を失ってしまう人もいます。
気分的には何かに追われている、慌てている感じで、つねに何かをしていなければならないという強迫的な焦りや不安やイライラを抱えており、何か特別な問題に直面していなくても、身体の状態そのものが不安やイライラに陥りやすい状態にある訳で、はっきり自覚できればまだいい方で、多くの人ははっきりした自覚もなくそういう状態にあります。
これは近代に欧米で発達し称揚されてきた科学的合理主義やその成果としてのテクノロジーといったものが、精神と身体をつなぐ半自覚的な営みである呼吸を完全に抑圧・忘却することによって深まりを広まりを獲得してきたことの反動でもあります。
特に明治以降「科学教」とさえ言えるほどにそうした欧米の姿勢を後追いで取り込んできた日本において、決定的かつ致命的な身体の崩壊を招いてしまった訳です。
そして17日にいて座から数えて「身体性」を意味する2番目のやぎ座で満月を迎えていく今週は、そうした自分の置かれた身体的状況に対し、改めて認識の目を開いていくことがテーマとなっていくはず。
その際、西洋的な合理主義を乗り越えようと、哲学の立場から全身全霊で取り組んだ日本人の一人である西田幾多郎の言葉は、十二分に立ち戻る価値のある言葉として感じられてくるでしょう。
今すぐ"努力”をやめよう
何となくうまくいかない状況が続くとき、人は能力の有無や、努力の有無をチェックし、その不足を認識・反省し、戒めてみせることで自分をなんとか正当化していこうとします。
しかし、能力や素質の多寡というのは、世界の超一流をのぞいて、ほとんどの場合努力の仕方次第でカバーできてしまいますし、さらに言えば、歯を食いしばって“努力”している限り、同じ状況を楽しんでしまう人にはけっして勝てないのです。
だから、もしあなたが今、一生懸命頑張って、必死に努力して成功を目指しているなら、すぐにやめてください。
楽しくならない限り、成功はできないし、辛く感じていることは、長くは続かないものです。あるいは、苦しいのは今だけで、後で良い思いが出来るから、と理由付けして我慢しようとするかも知れませんが、今でさえ苦しい思いをしてはいけません。
それが「快楽としての呼吸」へ至る最初の一歩となっていくはず。
今週のキーワード
純粋快楽