いて座
秋風とともに
風吹けば心が動く
今週のいて座は「遠くまで行く秋風とすこし行く」(矢島渚男)という句のごとし。あるいは、慣れ親しんだルーティンから心を離し、普段なら考えもしないような、遠くかけ離れたものへと意識を向けていくような星回り。
この時期になってくると風は早くも厳しい冬の到来を告げ始めますが、同じ風でも「ちょっとそこまで」と一緒に歩きたくなるような風と、逆に逃れたくなるような風とがあります。
冒頭の作者はきっと前者を見つけ、変わりゆく季節に溶け込んでいくように同道したのだろうと思います。
こうした人生の道行きを、秋の深まりとかけて詠まれた句はとても多い。
古来より、秋というのは収穫により物の流通が盛んになるだけでなく、人の行き交いも活発になる季節だったこともその理由でしょう。
例えば、「木曽路行ていざとしよらん秋ひとり」(与謝蕪村)という句には、どこかハッとさせられる示唆があります。
作者は「いざ」と勢いをつけて「年寄」ろうとしている訳ですが、ここでは明らかに「年を取る」こととの区別が強調されている。何もしなくても人は年を取りますが、作者は芸術や文学の境地、すなわち死生観を深めるような秋にしよう、そしてそれは孤独な作業でなければならない、と。
そういう意味では、今週はそんな秋風に吹かれつつ、自らの道行きを「年寄る」ものにさせていくことができるかどうかが問われていくことになりそうです。
風向きに従う
まだ密やかな時間の流れの中、自分に足りないものの模索は続いていますが、今週はそこに変化が出てくるかも知れません。風向きが不意に変わるのです。
あなたの中にある退屈さの原因となっている心の重荷をただ静かに見つめていった時、あなたに力を与えてくれる懐かしく幸せなイメージがふいに浮かんでくるでしょう。
その時、秋風との道行きはあなたの中で眠っていた、人生を前に進めてくれる力をくっと蘇らせてくれるはず。
もし、そんなあなたを引き留め、あなたがあなた自身でいられない要因をつくる人とは、潔くサヨナラすることです。
今週のキーワード
「年取る」と「年寄る」の違い