いて座
生き様を身をもって示す
不逞なり!
今週のいて座は、「羅や細腰にして不逞なり」(鈴木真砂女)という句のごとし。あるいは、「この人を見よ!」とふてぶてしくもうそぶいていくような星回り。
作者は恋の句を多数残した人。一度目の結婚は夫の蒸発でダメになり、亡き姉の夫と再婚をして、女将となって生家の旅館を継いだ後、やがて夫とも旅館とも別れをつげて、銀座に小料理屋を開いてひとりで切り盛りしたのだそうです。
掲句の「羅」は「うすもの」と読み、薄く仕立てられた、いかにも涼しげで、透明感のある絹織物のことで、夏の季語。
同じ季語を使って作者は「羅や人悲します恋をして」という句も残していますが、今もしいて座の人たちに寄せて作者の句をひくならば、やはり掲句の方がしっくりくるように思います。
細々として折れそうな自分の腰には、「世間からすればどんなにけしからぬ行いであろうとも、仕方がないではないですか」と。そんな風にうそぶく、何かふてぶてしいものを内に秘めている。
そういう自分を、半ば呆れつつも、しかし一方ではどこか誇らしい気持ちをもって受け入れていく。そんな作者の姿は、きっと今のあなたにとって良き指針となっていくでしょう。
バイブレーション
「美しいと汚いは、別々にあるんじゃあない。
美しいものは、 汚いものがあるから 美しいと呼ばれるんだ。
善悪だってそうさ 善は、 悪があるから、 善と呼ばれるんだ。
悪のおかげで 善があるってわけさ。
同じように、 ものが「在る」のも、 「無い」があるからこそありうるんでね。
お互いに 片一方だけじゃあ、在りえないんだ。
(中略)
だから 道の働きにつながる人は 知ったかぶって手軽くきめつけたりしない。
ものの中にある自然のリズムに任せて 手出しをしない。
すべてのものは生まれでて 千変万化して動いてゆくんだからね。」
(加島詳造、『タオ 老子』)
世間でふつうに生きていると、前向きに生きるとか、 美しいものに触れるといったことが肯定的な価値として捉えられがちです。
ですが今週は、そういう区別なんて本当はないのかもしれない、というところまでいったん降っていった上で、自分を肯定でできるかが試されていくような流れになっていきそうです。
揺らいでこ生命、生命をまっとうした我を見よ。そのくらいの気概で過ごしていきたいところです。
今週のキーワード
生命的であるということ