いて座
色事の美意識
「いき」に相手を求めていく
今週のいて座の星回りは、九鬼周造のいう「媚態の霊化」を為していくような星回り。あるいは、「いき」な情熱をもって貞淑を突き破っていかんとすること。
『いきの構造』を読んでいると、例えば「理想主義の生んだ「意気地」によつて媚態が霊化されてゐることが「いき」の特色である」なんてという一文が出てきますが、ここで言う「意気地」というのは一種のコンプレックスなんですよね。
つまり「女としてor男としてこうありたい」という理想に対してどこか鋭い緊張感を抱いていて、それが、意中の相手に甘くなったりデレデレと弛緩しきってしまうような「媚態」に冷や水を浴びせ、精神的に高まったところへ引き上げていくことを、「媚態の霊化」と言っている訳です。
こうやってきちんと矛盾や葛藤を前提として「いき」という俗なる美意識を語っているところなど、やはり理論というものは実生活に浸透されてはじめて力が出てくるもので、口先だけで格好良く決めても、しょせん頭の中の自己満足なのだと思い知らされる気がします。
その意味では、いて座の守護星である木星が自己主張の星である火星と向かいあっている今週のあなたもまた、自分なりの情熱をどれだけ「いき」に表していけるかどうかが問われていくでしょう。
意気地を機能させていくために
やはり生粋の武人出身のラ・ロシュフーコーもまた「貞淑とは情熱の怠惰である」という箴言を残していますが、日本社会というのはどこか「求愛すること」を恥ずかしがったり、どこか“はしたない”行為だと断じる向きがあるように思います。
ただ、それは一般的におのれの欲望をそのまま他者の前で露呈していくことそのものが下品で‟ゲス”い行為だからという風に捉えられがちですが、先の九鬼の論を鑑みると、どうも「意気地」というものが機能しなくなってきたからではないかと勘繰りたくなります。
すなわち、「女としてor男としてこうありたい」という理想がうまく思い描けなくなってしまったがために、求愛に際して緊張感が孕まれず、結果的に「媚態が霊化」できなくなってしまったのではないかということです。
まあ仮にそういうことだとしたら、1週間やそこらではとても解決できるような話ではない訳ですが、少なくとも自分はパートナーとの結びつきにおいて、どんな理想を抱いているかをしっかり自問するところから始めていきたいところですね。
今週のキーワード
俗なる美意識