いて座
言葉を通して繋がっていく
愛の表現
今週のいて座の星回りは、「チェーホフはオリガを鷗とよんだのだ妻の愛称はつねにかなしい」(岡井隆)という歌のごとし。あるいは、ただただ「カモメ!」と。
ロシア人女性は強烈な母性本能をもつと言われていますが、ロシアを代表する劇作家であるチェーホフの妻・オリガもまたそういう人だったようです。
ピンとこなければ、Wikipediaのチェーホフの項を参照してみて下さい。陰鬱なチェーホフの肩に寄り添うように快活な笑みを浮かべるオリガの姿を収めた写真がそこにあるはず。
わずか3年の結婚生活の末、チェーホフは44歳の若さで病死してしまいますが、「鷗(かもめ)」という愛称が示す通り、彼にとって妻の存在はこの世の喜びであり希望であったのでしょう。
その意味で、彼が妻につけた愛称は、彼が残した作品と同じか、それ以上の価値が彼にとってはあったのかもしれません。ひるがえって、今のあなたには彼ほどに自由で哀しい呼び名を与えられる相手がそばにいるでしょうか?
5日(金)におひつじ座で新月を迎えていく今週は、身の周りの生きた人間を通して、あなたの言葉の力が試されていくことになりそうです。
おのずから浮かんでくる言葉を
かつてアインシュタインは「神」という言葉を使う代わりに、相対性理論を説明する中で「宇宙的宗教感情」という表現を度々使っていました。そうとしか言いようのない感情が胸を突いたとき、自分は宇宙に向かって頭を下げるのだと彼は言うのです。
これはどこか、西行が伊勢神宮にお参りした時のことを詠んだ、「何事のおはしますをば しらねども かたじけなさに 涙こぼるる」という歌に通じるものがあります。
涙がこぼれる、自然と頭が下がる。そういう風にして、身体がサインを送ってくれているということなのでしょう。
その意味で今週のあなたもまた、「考えて絞り出す」のではなく「おのずと浮かんでくる」という感覚を大切にしていきたいところ。それはアインシュタインや西行のように、自分に素直でいられれば決して難しいことではないはずです。
今週のキーワード
身体がサインを送ってくれる