いて座
圧倒的に具象を刻む
パセリだって愛
今週のいて座は、「抽象となるまでパセリ刻みけり」(田中亜美)という句のごとし。あるいは、自然な身体の動きを伴なうエロスを、圧倒的な熱量で刻んでいくような星回り。
例えば「幸福」や「真理」といった抽象名詞はどこか冷ややかで体温からは遠い印象がありますが、人類の歴史上でも最も理知的で抽象化能力が高かったであろう古代ギリシャ人においては本当の意味での抽象名詞というものはほとんどあり得ませんでした。
特に「愛」というような名詞などは、彼らの中で常にいきいきとした具象的意味内容に満たされていました。
例えばプラトンのような哲学者において、彼の名高いイデア論はとりもなおさずイデアへ向かう強烈な情念(エロス)に支えられていたはず。
それは掲句においても同じで、パセリがパセリとしての体温を失うほどの“抽象化”をこちらが想像するほどに、それをまな板の上で可能にせしめている作者の圧倒的な情熱や熱量が逆説的に強調されてくる訳です。
たかがパセリなのにね。でも、パセリひとつで人の心が大きく動くことだってあるのかもしれない。そしてきっとそんな人生の方が、生きていて面白いに違いない。
圧倒的な熱量さえあれば、パセリだって「愛」へと高めていけるのだ。今週のあなたもまた、それくらいの気概をもってエロスを発動させていきたいところ。
頭はお休みモードへ
いて座のあなたには、いま十分に「選択の自由」が与えられているのだということを、今週はよく自分に言い聞かせてみてください。
「仕方なく」、あるいは「本当はあまり美味しいとは思わない」ものを食べ続けてきた子どもは、決して健全には成長していきません。必ずどこかで無理をきたし、しこりが残るはずです。
まずは、あなたの中の内なる子どもが、“何か”を目を輝かせながらほうばっている姿を想像してみましょう。感じることだけに集中していれば、いま自分に足りない味や経験が何なのか、そして本当に繋がっておきたい相手が誰なのかというのも自然と分かってくるはず。
頭はできるだけお休みしてもらって、いまは身体の反応だけに集中していくことです。
今週のキーワード
エロスは生命のリズムに宿る