いて座
意志と表明
秋風に吹かれて
今週のいて座は「秋風や射的屋で撃つキューピッド」(大木あまり)という句のごとし。あるいは、“落ちる恋”よりも、もっと確かな意志を持って誰かを求めていくような星回り。
秋は「飽き」に通じ、「秋風が吹く」は俗に「男女の仲が冷める」ことを意味しますが、一方でキューピッドはご存知ローマ神話の恋の神様で、ギリシャ神話のエロスにあたります。
彼は愛と調和の神ヴィーナスの子供で、背中から翼を生やし、彼の矢を心臓に受けた人間はたちまち恋に落ちると言われている。
ところが、そんなキューピッドがあろうことか弓矢を捨てて、地上の縁日で鉄砲を手にしている。
当然“マト”は缶や人形な訳で、いわば神様が職務放棄してしまっている様子を詠んでいるところに掲句のユーモアがあります。
ただ、これは観方を変えれば、少年のごとき神様の気まぐれで落ちる恋になどもう振り回されはしないぞ、という作者の心情が暗示されているものとも解釈できるのではないか。
風が吹けば矢は逸れますが、それに比べて「鉄砲」はやはり力強さやブレのなさが際立ちます。
考えてみれば今週8日には、約12年ぶりに「拡大と勢い」の星である木星がいて座に戻ってきますが、これはいて座の人たちにとって、おのれの意志と狙いがどこにあるのかを問われていく1年が始まりを意味します。
特に人間関係において、もう神さまや運任せにするのではなく、みずからの頭と手足によって決定していくという態度が求められていくでしょう。
ノイズか万有引力か
どこかで「万有引力とはひき合う孤独の力である」と谷川俊太郎さんは書いていました。
でも、互いに自然とひき合っていることを感じたり、確かめたりするのは実際にはとても難しいことです。
それは私たちが常日頃から街やネットに溢れている広告だとか、「ランチの時間だから食べなきゃ」といった植えこまれた自動プログラムとか、いろんな電気信号(ノイズ)を受信しまくりながら生きているから。
けれど、そういうノイズにまみれることに慣れきって鈍感になっていくと、いつの間にか足元がお留守になって、自分がどこに立っているのか忘れてしまうものです。
あなたはどこに立っているんでしょう? そしてその足元を支えるためには、どこからどれくらいの力を借りる必要があるのでしょうか。
そういうことに、そろそろ自覚をもって明確に自分なりの態度や考えを表明していく時期が、いて座にやってきたのです。心していきましょう。
今週のキーワード
神さま任せより人間任せ