うお座
春と生命
蛇と飛行機
今週のうお座は、「蛇穴を出れば飛行機日和也」(幸田露伴)という句のごとし。あるいは、脱皮する蛇のように、過去を脱ぎ捨て現在(いま)を取り戻していくような星回り。
冬眠から覚めた蛇が暗い地中から出てみると、いつの間にかあたりは陽気が漂っており、見上げた空はいい天気。「ああ、今日は飛行機日和だなぁ」と思わず蛇がつぶやいた。
そんな情景を思わず連想してしまう掲句ですが、たしかに真っ暗な中から出てきて、最初に目に飛び込んでくるのは、具体的な辺りの風景ではなく、明るい上空でしょう。
今のあなたは、まだ自分がこれからどこへ向かっていくのか、どうなってしまうのかという具体的なプランや計画は白紙に近いかもしれません。
ですが、そういうものを自分に求めるよりも、今はただ「凄いなあ」と飛行機を見上げる蛇のように、なんでもやれる自由が自分に与えられた解放感を全身で感じていくことが大切なのです。
いたずらに過去や未来を持ち出さず、その日の天気を胸いっぱいに感じながら、日々を過ごしてみてください。
復活と神話
坂本九の「上を向いて歩こうよ」もそうなのですが、この句はどこか、キリストの復活劇を連想させるところがあります。
キリスト教社会において、キリストの復活がこの世界への信頼を取り戻すためのシンボルや神話となっている。それと同じでも蛇にもまた、自分だって空を飛ぶ飛行機のように素晴らしい存在となっていけるのだという神話が必要なのです。
そうしてまるで春の訪れがすべての生命に呼びかけるように、自らが依って立つ神話への応答において、ある種の自己刷新は促進されていく。
今週は、1日ごとに自分が生まれ変わっていくように感じることがあるかもしれない。それはあなたが新たな神話を取りこみ始めていることと表裏にあるのだと言えるでしょう。
今週のうお座へのキーワード
飛行機日和