うお座
関係を継続していく上で大切なこと
無心の祈り
今週のうお座は、「汝の存在を欲する」という言葉のごとし。あるいは、自分に必要不可欠な交わりを育んでいくような星回り。
社会の絆の存在論的根拠を問うたハンナ・アーレントの『アウグスティヌスの愛の概念』には、「amo: Volo ut sis.(アモー・ウォロ・ウト・シス) 」という重要なラテン語による一文が取り上げられています。
直訳すれば「わたしは愛する。わたしはあなたが存在することを欲する」。相手に何かしてほしいという訳ではなく、こちらから何か特別な働きかけがある訳でもない。そんなこの言葉が、実際どこまでの重さをもっているのかは、正直わかりません。
けれど、アウグスティヌスがこの言葉を記し、それにアーレントが反応したとき、そこには何らかの思いの奔流が確かに存在したのだろうということだけは、事後的にそれを後追いしている私たちにも感じ取れるはず。
そしてそれは、この言葉がそれ自体では何も語っていないこと、何の含みもなく、したがって目的合理性に絡みとられることがないがゆえに、ただ現にいま交わりが存在し、それがこれからも存在していくことへの純粋な祈りになりえている点において豊かなのだという、ある種の直感に裏づけられているのではないでしょうか。
15日にうお座から数えて「他者との融合」を意味する8番目のてんびん座の新月から始まる今週のあなたもまた、そんな「おはようございます」とか「こんにちは」といった、それ自体では何も語っていないがゆえに豊かであるような無心の祈りを大切にしていくべし。
宗教的実践としての
例えば、昔の夫婦というのは、ただいろいろなことを「協力」してやっていって、それが一通り終わったら死んでいって、それでめでたしめでたしだった訳ですが、現代ではすっかり事情が変わってしまいました。
いまは先に互いの価値観や好みへの「理解」というものが求められ、その上ではじめて「協力」が成り立つものとされるようになってきている。相手を理解するには、まず自分を理解しなければなりません。ただし、就活みたいに自分の長所や強みをというより、むしろ自分の欠落や病理、その在りかや深刻さなどを、自分である程度認識していかなければならない。それはとても苦しくて、しんどい作業です。
それが嫌で別の人を横目で探したり、関係が深まる手前で何度も何度も相手を変えていくような人もいるでしょう。そもそも「理解」という作業に向いてない人だって少なくないはず。
その意味で、今週のうお座もまた、結局のところ他者というのはこちらのコントロールを超えた存在であり、それと向き合い、関係を継続していくことはある種の宗教的な実践に他ならないのだということを何らかの形で実感していきやすいでしょう。
うお座の今週のキーワード
「理解」など脇においた方がいい