うお座
片思いを引き受ける
安らかであって欲しい
今週のうお座は、『若楓あおぞら死者にひらきけり』(奥坂まや)という句のごとし。あるいは、隠れた願いをきちんと言葉や形にして伝えていこうとするような星回り。
「若楓(わかかえで)」は楓の若葉のことで、初夏の季語。掲句はおそらく、身近な人が亡くなったときに詠まれたものなのでしょう。
悲しみをぐっとこらえつつ、ふと見上げた先に、5月の晴れた空が広がっていた。そのとき、これは新たな死者をあの世へと迎え入れるべく空が開いたのだと感じたと言うのです。
みずみずしい若楓の緑とは対照的な、宇宙まで続いていくような空の虚無が恐ろしいほどですが、それでもどこか安らかに感じられるのは、「あおぞら」「ひらきけり」などひらがなを多く用いた効果であり、それもまた作者のうまく言葉にできない感受の表現なのでしょう。
もっとも、安らかといっても死者がどんな思いを抱いて死んでいったのかは、決して本人しか分かりえないことであり、安らかであって欲しいという思いは、残された生者の願いであり、祈りなのだということも忘れてはなりません。
12日にうお座から数えて「透明な共同体」を意味する12番目のみずがめ座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、こうした届かない可能性だって高い働きかけを、それでも自身の責務として引き受けていけるかが問われていくでしょう。
惚れた者負け
恋愛を筆頭に、誰か何かと深く関わるということは本質的に超絶めんどくさいことです。が、めんどうはめんどうなりに、楽しさがあって、美しさもあって、でもやっぱり汚さもあったりする訳です。そして、そういうあれやこれやを経て、誰か何かを最終的に引き受けたり引き受けなかったりする。
自分が好きだからって、相手が自分のことを好きかは分からないし、仮に好きになってもらえたとしても、そのタイミングでまだ自分も相手が好きかどうかは分からない。そもそも、相手に自分がしてあげられることなんて、本当はこれっぽっちもないかも知れない。自分の方が、よっぽどたくさんのものをもらってしまう。だから結局、恋愛ってそういう「片思い」をみずから引き受けていくことなんだろうなと思います。
人間、相手が何を感じて何を考えどう幸せなのかなんて、最後までわからない。だから、どこかで腹をくくって「それでも好きだから」と言うしかないんでしょう。
うまくいけば今週のうお座は、あなたが心から「負けました」と思えるものと出会えたことを、余計なものを交えずに、ただただ純粋に感じていくことができるかも知れません。
うお座の今週のキーワード
あおぞらひらきけり