うお座
走馬燈視点
ゴールデンタイム
今週のうお座は、『運動会今金色の刻に入る』(堀内薫)という句のごとし。あるいは、のちに走馬燈で振り返られるだろう光景のただ中に臨んでいかんとするような星回り。
この句の肝は、「金色(こんじき)の刻(とき)」というある種の感傷を呼び起こす語と、「運動会」という目の前の景色がダイナミックにうごめいていく状況との取り合わせ方に尽きるでしょう。
すなわち、まさに「今」その2つが結びつく瞬間に、作者は居合わせているのだと。例えばそれは花形種目であるリレー競争であったり、さらに言えば、スタートラインについた選手たちが、ピストルが鳴る瞬間を静かに待っている、あの沈み込むような瞬間だったりするはず。
活気あふれるイベントのさなかに、はやくも金色の秋の日差しがかかって、選手たちの影が長く尾を引いている。それは華やかな気分の中に差し込む一種の衰亡感であると同時に、終わりを意識したことで俄然燃え上がるいのちの煌めきでもあり、両者が混然となってそこに居合わせた人びとに特別な刺激を与えていくのです。
人生には、いやどんな出来事や状況においても、そうした「金色の刻」は来るわけですが、10月3日にうお座から数えて「機運」を意味する11番目のやぎ座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、さながらリレー競争のスタートラインに選手として立ったつもりで、そんな特別な瞬間を心に刻みつけていくべし。
宇宙から地球を見るように
地球上には人間が70億人もいて、今も人口はどんどん増えていってるのに、人生というゲームに同時に参加できる人数は両手で数えられる程度に限られているのは、なんとも不思議な話です。そういう意味で、人は考えている以上に物事の在り様を正確には認識しておらず、認識するにはそれこそ先の走馬燈くらい距離を取る必要あるのです。
例えば、『天空の城ラピュタ』の主題歌「君をのせて」という歌を聞いたことがある人なら分かると思いますが、あの歌詞は地球からはるかに離れた「ぼく」の、宇宙からの視点で語られています。
あの地平線 輝くのは
どこかに君をかくしているから
たくさんの灯が なつかしいのは
あのどれかひとつに 君がいるから
真っ暗な宇宙空間の中に、青い地球が浮かびあがり、次第にわずかな地表部分に家々の灯りがともっているのが見えてくる。今週のうお座もそれくらいの視界の「開け」を持てるかどうかが、ひとつの課題となってくるのだとも言えるでしょう。
うお座の今週のキーワード
華やかな気分の中に差し込む衰亡感