うお座
にわかに色めき立つ内臓
色話は豊作をもたらす
今週のうお座は、艶笑譚に花を咲かせる村の寄合いのごとし。あるいは、生命エネルギーの奔流となって轟わたっていくような星回り。
人間同士というのは、過酷な状況になればなるほど、放っておくと身も心もバラバラになってしまうものであり、だからこそ結束や絆だけでなく、生きる気力を保つために昔から人が集まればそこでは積極的に「語り」が行われてきました。
例えば戦地においても、飢えと恐怖を封じる手段として話に花を咲かせ、その幻を食べてみなでしのでいたという話を聞いたことがありますが、なかでも食べ物の話や艶話の人気が高かったそうです。後者は「艶笑譚」とも言われますが、これはどういう時に話されたかというと、村の寄合や酒席はもちろんのこと、神祭りの場などでも話されていたようで、田の神様は色話が好きで、それを聞くと豊作をもたらすという信仰があったのだそう。神様が色話を聞かせてもらったお礼に五穀豊穣をもたらしてくれるという訳です。
「尻と臍のけんか」という題の話が「昔、女子の持物な、眉間に付いとつたてたい。ばつてん、あんまり人目に付いて見苦しかけん、場所替えしゅうて思うち、場所ば見つけよつたてたい」なんて語られ始めようものなら、もう無視することなど不可能でしょう。
同様に、18日にうお座から数えて「祝砲」を意味する5番目のかに座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、自然と自身の生きる気力が色めきわたっていくのを実感していくことができるはず。
はらわたをつかむ
例えば服のセンスよりも、香りのセンスがいい方が、人としての好感度が上がりやすいという話を聞いたことがありますが、これはとても大事な教えです。それは外側を覆う記号で自分や他者を捉えるのではなく、内側から漏れ出した野生を感じ取った結果であり、そういうものをここで「内臓の感受性」と呼んでおきたいと思います。
東京芸術大学で体育の先生をしていた野口三千三氏は独自の体操理論や人間哲学で知られた人物ですが、彼は絵を描くにも歌を歌うのにも「内臓の感受性」が基本となると考えていたようです。
そして、それを高めていくために、まず生徒へ“はらわた”を“つかんでもらう”ことが先決だと、「家に帰ったら新聞紙でもひき、その上にしたものを両手でつかみなさい」というような課題を出したのだとか。
今週のうお座は些細な日常の中で、どこまでディープな感性を働かせていくことができるかが問われていくでしょう。それを実践していくには、まず自分の匂いに自覚的になったり、腹のうちにあるものや、等身大の自分というものを把握していくことが不可欠なのだと言えます。
うお座の今週のキーワード
内臓の感受性に従う