うお座
のほほーん
猫のように暇に
今週のうお座は、まったく生産性のないスポーツに励んでいく大のおとなのごとし。あるいは、ひらすら「のほほーん」としているような星回り。
例えばサッカーや野球は点を取らねばなりませんし、そのために闘志やチームワークが要求され、罵詈雑言も飛び交い、生産や累積が重んじられるスポーツであり、勝ち負けも明確ですから、アドレナリンが大量に分泌される系のスポーツとも言えるでしょう。
しかし、19日にうお座から数えて「落ち着き」を意味する4番目の星座であるふたご座で満月を迎えていくところから始まる今週は、もっとダウナーです。
例えばサーフィンのように、波に身をまかせる、ゆだねることを基本として、自分の能力を弁えつつ、無理はせずに、的確な判断をくだす、他人の邪魔はしないし、必要があれば助けてもらう。どの波に乗ればいいのか、この波に乗るのか、それともやり過ごすのか、やり過ごすなら、どのようにやり過ごすのか。そこでは調和と解放が重んじられます。
「のほほーん」というのも、自分の性に合っていることが分かっていなかったり、身体が緊張しきって固くなってしまっていれば、できないもの。慌ただしい季節ではありますが、だからこそ逆になるべく猫のように暇に過ごしていきたいものです。
昼寝あとの浮遊感
数学者の岡潔はかつてエッセイの中で「乾いた苔が水を吸うように学問を受け入れるのがよい頭といえる」と述べていましたが、それと「のほほーん」に共通することで思い出すのは昼寝後に覚える感覚です。
あのうたた寝から醒めた後の、なんともいえない不思議で静かな感じを抱いた経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
あたりがしんとしていて、何の音もしない。まるで天地の間に我一人だけが在り、孤独とも違う、寂寥というのでもない、この宇宙の中に自分だけポツーンと置かれているような幽閑とした浮遊感。
そしてしばらくすると、家の外からかすかに聞こえてくるリズミカルな物音が聞こえてきて、少しホッとするのと同時に、あの不思議な感じは煙のようにどこかへ消えてしまう。
今週のうお座もまた、そんなふうに独り天地と一体化する感覚を通して、日常の束縛からふっと逃れ出ていく中で、無意識を大いに耕していきたいところです。
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