うお座
自分なりの世界観の完成ということ
こちらは9月13日週の占いです。9月20日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
「爛々と」の一言
今週のうお座は、「爛々と昼の星見え菌(きのこ)生え」(高浜虚子)という句のごとし。あるいは、作品の完成に向けて手を入れていくプロセスのような星回り。
作者73歳の秋の作。井戸の底から昼の星とキノコを見たという人の話を聞いての即吟で、ただその場では「昼の星見えしよりこの菌生え」と詠まれたのが、そこから時間をおいて冒頭の句に成っていったのだそうです。
確かに、変化する前の句ではまだ「自分の目にしか見えない糸」は編み上げられていません。作業の途中というか、確信が足りないし、まだ全体像が見えていない。
やはり「爛々と(らんらんと)」という一言が入ることによって初めて、「昼の星」と「菌(きのこ)」とが見えない糸(意図)でピシっと結ばれ、互いの領域が入り混じったひとつの巨大な感興が立ちあがっている。
それは事実を超えた、見えるはずのない景であるにも関わらず、それでいて確かにそういう宇宙的連関を人は経験し得るだろうという確信を与えてくれるように思います。
同様に、14日にうお座から数えて「公的立場」を意味する10番目のいて座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、みずからの言動を少しでも自分なりの世界観に即したものへと近づけていくべく、ドライブをかけてみるといいでしょう。
「用の美」の条件
「用の美」とは、その土地土地の風土に根差した民衆の暮らしの中で、日常的に用いられてきた民芸品にこそ美を見出していった民藝運動の父・柳宗悦によって提唱された概念ですが、そこには柳なりの厳しい基準がありました。
まず観賞用ではなくあくまで「実用性」があり、「伝統」と「地域性」が感じられるもので、誰もが買い求めやすいものであること(廉価性)、などなど。中でもその中心的な価値として考えられたのが、「他力性」だったように思います。
つまり、ひとりの個人の力によって成り立っているものではなくて、風土や自然の恵みによって支えられ、また女性や男性、大人と子供など複数の異なる人の手を借りて、繰り返し作られていったものにこそ、柳は「用の美」の真髄を見ていったのです。
ひるがえって、いまのあなたの生活はどうでしょうか?仮に「美しい自己完結」というものが人生にありえたとして、果たしてそこに向かうためには何が必要なのか。今週のうお座は、ひとつそんなことを考えてみるといいかも知れません。
うお座の今週のキーワード
美しい必要不可欠さ