うお座
いろいろだしてこ
朔太郎の悔恨
今週のうお座は、萩原朔太郎の「物みなは歳日と共に亡び行く」という詩のごとし。あるいは、ごまかしようのない真実にそっと光を当てていくような星回り。
荻原朔太郎には、自分は一種の人生の敗残者だという思い込みが強くあったようですが、たとえば晩年に書かれたこの詩には、その感が強くあらわれているように思います。
わが草木とならん日に
たれかは知らむ敗亡の
歴史を墓に刻むべき。
われは飢ゑたりとこしへに
過失を人も許せかし。
過失を父も許せかし。
彼は34歳で結婚した妻と結婚10年後に別れており、その際、妻は一青年と出奔し、朔太郎は二人の娘を連れて実家に帰り、離婚と家庭崩壊の苦悩により一時的に生活が荒廃しています。
もちろん、傍目から見れば「日本近代詩の父」と称される彼の人生は華やかな成功に彩られていた訳ですが、それらで相殺されてもなお、彼のこころには深い悔恨が残されていたのでしょう。
22日夜にうお座から数えて「心の奥底」を意味する12番目のみずがめ座で迎える満月から始まっていく今週のあなたもまた、自分のこころの奥底にどんな苦悩やその痕跡が残されているのかを、改めて突きつけられていくことになるかもしれません。
自意識の置きどころ
たとえば、何らかの分野でそれなりの存在感を発揮している専門家というのは、概してみな自意識が強いものですが、大別するとその自意識を隠したいと思って隠せないタイプと、隠さずに自己顕示していくタイプのどちらかに分かれていくように思います。
逆に言えば、自意識がほとんど感じられない「普通の人」然とした顔でい続けられる専門家やその道のプロというのはとっても珍しいのではないでしょうか。
けれど、そうして何でもない顔をして、ごく自然なふうに自らの傷つきやすさや悔恨を垣間見せられる専門家というのは、ひとつの理想形と言えるでしょう。
詩の世界であれば、まどみちおさんや谷川俊太郎さん、短歌であれば俵万智さんなんかは、そのタイプの天才だと思いますが、それらの人に共通しているのは、自分の未熟さに怯えてないような空気感と言えるかも知れません。なぜ、怯えてないんでしょう?
何かそこに、いまのうお座の人が思い出していくべき大切なものがある気がします。
うお座の今週のキーワード
爪を出すと同時に舌も出す鷹