うお座
現実を書き換える
空間地図から時間地図へ
今週のうお座は、時間の地図を作っていくような星回り。あるいは、時間のヒダを可視化していくこと。
地図はその図の広がりの上に、われわれを取り巻く空間の特性を克明に映し出してくれます。山や谷、川の流れや海岸線など、さまざまなゆらぎをもつ線に彩られて地形は変化し、また、道路や線路、駅や建造物など人工的な都市は整った幾何学的なかたちを伴って地表の表情をひきしめている。
ただ、そうして地図を眺める私たちは、空間の広がりだけでなく、無意識のうちにそこに時間の広がりも読み取っているはず。例えば、直線距離ではそう遠くないのに、電車に乗っていこうとすると、乗り継ぎして行かなければならず遠く感じる場所がある一方、そんなに近くないはずなのに、アクセスのよさも相まって気付くとよく通っている場所もあったりする。
ゆっくり歩くこと、小走りすること、ふいに佇むこと、汗をかいて階段をのぼりおりすることなど、空間を移動し、時間を切り開く人の動きが、空間地図とは別の表情を見せる「時間線」ないし「心の距離線」をつむぎ、「時間地図」を誕生させていく。そして、そこで私たちは、異様に引き寄せられ接近してしまっている“お気に入り”の領域がある一方、意外なところに遠く取り残された孤島のごとき“不可視”の領域があることに気付かされる。
20日にうお座から数えて「整理と調整」を意味する6番目の星座であるしし座で上弦の月を迎えていく今週のあなたにとっても、そうして普段の自分の行動や取捨選択がいかに多くのものを切り捨てながら成り立っているかを自省していくことがテーマとなっていくでしょう。
時間地図の楽しみ方
例えば、もしあなたが家から駅までの見慣れた通学路や通勤路から、いきなりアマゾンの原生林へ―というと言いすぎですが、見知らぬ街角へ立たされたなら、さぞかし心細い思いをすることでしょう。
ただ、街の通奏低音とでも言いましょうか。耳慣れない喧噪のなかに、なにか洒脱な音楽性を感じたり、淡いなつかしさのようなものを覚えると、不安より先に手や足が伸びてしまったりするのも私たちの習性なのではないでしょうか。
当然、視覚情報としては、目に飛び込んでくるどんな光景も不安を呼び起こすでしょう。けれど、生命というのは元来そんなに‟やわ”には出来ていません。素直で大胆な体が、頭よりも先に反応する時は、まごつく脳などそっと置いてけぼりにしておけば良いのです。
自分の辞書にのっていないリアルな匂いや音、肌ざわりや味に接したなら、さながら昆虫採集する少年のように、ただ無心でそれらに自分のからだを開いていくこと。それもまた、時間地図を楽しんでいくコツなのだと言えるかもしれません。
今週のキーワード
ダンスノーテーション(舞踏譜)