うお座
レッツ・コンステレーション
無意識的な拡充
今週のうお座は、マラルメの「詩作の哲学」の受け止めのごとし。あるいは、「予想もしなかった星座を勝手に構成させ」ていくような星回り。
詩人のステファヌ・マラルメは、間もなく22歳になろうとしている年、自身の詩を添えた友人への手紙の中で、詩人としては先輩格のエマニュエル・デ・ゼッサールを揶揄して次のように書きつけました。
アンリ、われらの自惚れの強いエマニュエルが、天の川で一握りの星を掴んで、これを紙の上にばらまいて、運まかせに、予想もしなかった星座を勝手に構成させる、といった風の、あの文学創作の理論からは、なんと遥かに隔たっていることか!
この言葉はボードレールの「エドガー・ポーに関する新たな覚書」の一節を想い起こさずにはいられません。そこでボードレールは、やはり同じような文脈で霊感主義者を批判して、次のように書いていました。
目を閉じて傑作をねらい、無秩序というものに満腔の信を抱き、天井に向けて投げられた活字が床に落ちて来て詩になるのを期待している
ただ、ボードレールがきわめて世俗的かつリアリスティックに、天井に投げられた活字というイメージで語っていたことを、若いマラルメがすでに天上の星々と星座という関係に拡充しているところに、まさに想像力の働きが見て取れるはず。
4日夜にうお座から数えて「想像力の働き」を意味する5番目のかに座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、はからずも自身の魂をむき出しにしていくことになるかも知れません。
同質同類は次元を超えて
どこかで誰かが「一本の草の根を引き抜いただけで宇宙は軋むことがある」と書いていましたが、確かに人間の認識能力のキャパをはるかに越えたところで作用している見えないネットワークの中には、天井の活字と星座に限らず、意外な結びつきがゴロゴロしているもの。
例えば、夜空に赤く輝く火星と、解体作業で使われる鉄球と、豚の生姜焼きに入っているショウガは、占星術において同じネットワークで結びついた同質同類の仲間であり、こうして目に見えないネットワークは存在のレベルやスケールを飛び越え自在な結びつきを保っているのです。
何が言いたいのかというと、あなたにもそんな見えない絆で結びついた(一見そうは見えない)同質同類が必ずいるのであって、意味のある偶然とは、そうした仲間の一本釣りに他ならないということ。
転校生であれ、宇宙人であれ、二次元のアニメキャラであれ、これはと思った相手には、体ごとぶつかっていきましょう。
そうして、新たな星座をつくり出すように、離れた点と点を自分という宇宙のなかで結んでいってください。それが今週のうお座のテーマなのだと言えます。
今週のキーワード
相即相入(そうそくそうにゅう)