うお座
咲かせよ、あだ花
たとえ間違っていたって前進全力
今週のうお座は、「逢ひに行く開襟の背に風溜めて」(草間時彦)という句のごとし。すなわち、一生懸命に何かを伝えていこうとするような星回り。
真っ白の開襟のシャツ、一生懸命に漕ぐ自転車のペダル、はやる気持ちに、ちらつく相手の顔また顔。
これ以上ないくらいの青春そのものの句であり、誰にもこんな時があったはずだと思わせる吸引力がある。それは顔を真正面から捉えるのではなく、あえて背中から描写した構図が為せる妙ではないでしょうか。
明るい陽射しの下、今日もどこかで誰かがこんな思いで自転車を走らせているかも。あるいは、自分自身がそうなることだってあるかもしれません。
まだ大人のずるさや迷い、自己正当化が入り込む前の、何もかもが鮮やかにきらめいていた頃に特有のまっすぐさがこの句には伺えます。
私たちは時おり、今よりずっとわくわくとして、ウブで、傷つきやすく、余計な言葉を覚えていなかった青春の1コマに戻ることがあってもいいのではと思われます。
21日にうお座から数えて「純粋な表出」を意味する5番目のかに座で先月に続き2度目の新月を迎えていく今週のあなたもまた、自分のなかにまだまだ若く未熟な顔を見出していくことになるかもしれません。
危険なダイモンとしてのエロス
10代は苦々しいほどに恋をこじらせている時分でもありますが、そもそも恋情とはどんなものだったのでしょうか。
「恋」や「愛」とは、ギリシャ神話においては最古の神々のひとりであり、「愛する(エマライ)」などの関連語の一族を伴なって日常会話に頻出する抽象名詞でもある一方で、古代の人々にとってはつねにいきいきとした具象的意味合いに充たされているものであり、それゆえに時に人間にとって危険なダイモン(神霊)でもありました。
今週のあなたもまた、危険を冒してでも愛の求めるところを追求していけるかが問われていくことなっていくでしょう。
今週のキーワード
青春は来たる