うお座
業と明るさ
生きるとは業を重ねるということ
今週のうお座は、「何、クソッ。」と抗いながらも続いていく人生のごとし。あるいは、小さなことを重ねることが、自分を天国へと連れていってくれる、唯一つの方法なのだと理解していくような星回り。
現代は、いわば「死に甲斐喪失の時代」と言えます。
過去のある時代には、おおやけに認められた「大義」というものがあり、それが誰かにねつ造されたまやかしであったとしても、「喜んで死ぬ」ということがありましたし、同時に、そういう風に生きるべしという倫理観でもあったのです。
しかし、今日においてはそうした倫理観は一切失われました。
この世にある限り、果てしなく業を重ね、救いのない世界を生きていかねばならないのです。それどころか、因果応報のおよぶ先は、あの世においても未来永劫、果てしなく続いていく。
それが、あなたがこの世に生まれてきたということであり、苦界を生きるということの恐ろしさでもあります。
それでも、人間であることの謎を全身の毛穴から思い知っていくその先にこそ、魂の一番深い部分での地殻変動のごとき、やわらかな仏の光のようなものが差してくるのではないか。
今週20日の乙女座の新月は、そんなことをしみじみ考えてみるのもいいでしょう。
「自業自得」を受け入れる
たとえば『餓鬼時経』といういわば幽霊譚と言えるお経は、死者の口から語られる餓鬼道に落ちることになった因縁エピソードの数々を読んでいくと、「ああ、業からは逃げも隠れもできないし、業が私であり、みーんな業にしがみついて生きていて、苦も楽もすべからく業なのだな」と思えてきて、気分が明るくなってきます。
ちなみに餓鬼道とは、「生前において強欲で嫉妬深く、物惜しく、常に貪りの心や行為をした人が死んで生まれ変わる世界」のことですが、生きた人間の中にもたくさんいて、胸に手を当てれば多少の心当たりがあることと思います。
身の内の餓鬼を悪とみなしたり、身の内の餓鬼を必死に祓っていこうとするのも間違いではありません。
ですがまずはそういう人間存在の在り様を、単純明快に受けとっていくことの大切さを餓鬼時経は教えてくれているようにも思えます。そうした明るい身軽さを、今週は大事にされてみてください。
今週のキーワード
だいたいのことは自業自得