うお座
愛の呼吸
生まれと作品の呼応
今週のうお座は、ラングストン・ヒューズの「助言」という詩のごとし。あるいは、人生の「基本のキ」に改めて立ち戻っていくような星回り。
詩・小説・戯曲・短編・コラムなどに活動した20世紀アメリカの作家であるヒューズは、それまで白人作家によってばかり語られてきた中で、ようやく黒人自身の視点から普遍的な人間像を提示することに成功した稀有な人物でもありました。
彼はアフリカ系のみならず、ユダヤ系やネイティブ・アメリカンなどが混血した一家から生まれ、幼少期に両親が離婚しており、祖母から黒人の伝統口承文学を多く聴かされ育てられたのだと言います。そうした幼少期の経験は彼の作品にも色濃く反映されていますが、ここでは「助言」という詩を引用しておきたいと思います。
「みんな、云っとくがな、
生れるってな、つらいし
死ぬってな、みすぼらしいよ――
んだから、掴まえろよ
ちっとばかし 愛するってのを
その間にな。」
(木島始・訳)
実際彼はたくさんの苦しみを経たのでしょう。ただ、この詩ではそれらを底に沈めたまま、言葉がスキっと冴えわたっています。
23日にうお座から数えて「魂のルーツ」を意味する4番目のふたご座で、新月を迎えていく今週のあなたもまた、自分が何を経験するために父母から命をあずかり、生を謳歌しているのか、改めてその思いを新たにしていくことがテーマとなっていくでしょう。
大きな呼吸の中で
先日惜しまれつつも亡くなった志村けんさんもそうでしたが、晩年期まで大きな仕事ができたり、スッと「息を引き取る」ように亡くなっていける人というのは、生きているあいだに懸命に自身のいのちと向きあい、その重みを投げ出すことをせずきちんと感じてきた人なのでしょう。
そしてこの「息を引き取る」というのは、潮が引くのと同じで「元に戻っていく働き」であり、この“もと”というのは、かみさまであったり天地自然であったり、つまり私たちがそこからやってきた大元の世界なのではないかと思うことがあります。
見方を変えれば、常日頃から吐く息のリズムやタイミングが合いやすい相手というのは、まさに同じところへ帰っていこうとしている相手なのだということになります。
あるいは、共に息を安らかに吐くことのできる=愛に満たされた関係性というのは、引き取ってくれている側と引かれているこちら側がスムーズにつながっている、歩調が合っているということと表裏なのかも知れません。
今週は、そうした自分をスムーズに引いてくれる大きな呼吸の中で、息を深く吐けるよう調整していきたいところです。
今週のキーワード
かかとで呼吸する