うお座
舟を浮かべる
動物のしっぽ
今週のうお座は、「ゆ」がつくオノマトペのよう。あるいは、酔拳の使い手のごとき構えに戻って誰か何かと対決していこうとするような星回り。
たとえ凡庸な器量やファッションであっても、人目を誘う仕掛け方というのはそれなりにあるもの。女性のそれで言えば、ゆるやかに頬にかかる髪だったり、風にゆらぐスカート、ささやき声や不意に消える語尾。動物であれば意図をはぐらかすかのような尻尾の動きなどがそれに当たる。
どこか確かな座標に固定されることへ抗うように揺れるもの。そこに、私たちの目はどうしたって吸い込まれるのだ。
「ゆ」のつくオノマトペも、「ゆらゆら」や「ゆるゆる」、「ゆわんゆわん」、「ゆるり」など揺らぎや緩やかさを表すものが多い。
それは安定から浮かび上がる不安定という構図の中で生じてくる動きであり、形のゆらぎ、つまり既存の形から別のカタチへの異様な移行を想起させる擬音語であり、その動き自体をどこかで肯定する意図を持つ。
2月24日(月)に自身のサインであるうお座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、そうした擬音語の一つ、もしくはそれら複数を渡り歩いていく中で、獣のような天使のサガに改めて回帰していくことになっていくはず。
自分の海を見つける
例えば311の後に、やたらと「絆」という言葉が流行ったことがあった。確かに自然発生的にポツンとポツンと生まれてくる分には美しいけれど、それがやたらと押しつけられたときにこれほど嫌な言葉もないだろう。
それで、なぜこれほどまでに嫌に感じるのかと考えてみると、絆というものは陸地的な発想のものだからに違いない。
つまり、橋をつくって、孤立した島(人間)同士をがっりちと結ぼう、安全な陸地をがっつり拡大していこう、と。そうやって明治以降の東京は、わずかに残っていた水路もつぎつぎに暗渠にして、街そのものを巨大なコンクリートのかたまりのようにしてしまった。
そうして自由な海の喪失という現実さえも次第に見えなくなって、孤立していたとしても、ときどき行ったり来たりする舟があれば十分じゃないか、という海洋民的な発想さえ持てなくなってしまった結果としての、生きづらさではなかったか。
だからこそ、今週のうお座は、島と島、人と人との間に広がる海を、もう一度見直し、再発見していきたい。今こそそれができる時なのだから。
今週のキーワード
海洋民的スタイル