うお座
根底から支えてくれるもの
生き返りを遂げる時
今週のうお座は、「絶壁に眉つけて飲む清水かな」(松根東洋城)という句のごとし。あるいは、自分の拠り所がどこにあるのかを痛感していくような星回り。
掲句の眼目は、「絶壁に眉つけて」という表現にあります。山中の立ち止まることさえも難しいような場所で休憩をとっているのか、それとも強い渇きと疲れによって自分の体をまっすぐ支えることもできないでいるのか。
「清水」を飲んでいる状況の詳細は分かりませんが、物理的にであれ精神的にであれきわめて不安定な状態を余儀なくされていることは確かでしょう。
ただ、そうであるからこそ、澄んだ清水が体内に染みわたっていく感覚や、岩肌につけた「眉」という1つの拠り所によって自分が生かされているのだという感覚が、これ以上ないというほど鮮烈に自覚されてくるのだとも言えます。
16日(金)にうお座から数えて「内奥の自己との直面」を意味する12番目のみずがめ座で満月が起きていく今週は、不安が大きければ大きいほど、生かされている感覚の確からしさもまた増大していくという掲句の世界を地でいくところが出てくるでしょう。
井戸から水をくみ上げる
人間の潜在意識というものは、必要となればいつでもそこからモチベーションや欲求や必要なメッセージを汲み上げていくことのできる井戸のようなもの。
しかし、私たちは大抵いつもひどく限定された不自由な身に縛られていますから、その中にあるものを必ずしもいつも把握している必要はありません。
しかし、どんな状況にあっても自分は井戸からつめたい水を汲み上げ、のどの渇きを癒し、あるいは潤いのある質感を伝えていくことができるのだという実感は、あなたに生きる気力と大いなる喜びを与えてくれるでしょう。
アイルランド詩人のフレデリック・ラングブリッジは、
「二人の囚人が鉄格子から外を眺めた。 一人は泥を見た。一人は星を見た」(不滅の詩)
という一片の詩を遺しました。
あなたもまた、もしも井戸を見下ろしてくみ上げるほどの水がないのなら、自分の手で井戸を掘り下げて、水をすくいあげていけばいい。それくらいの気概を、今週は持っていきたいものです。
今週のキーワード
そこにあるのは泥か星か