うお座
華を思い描くこと
リアリティーの再構築のために
今週のうお座は、「空ならむ空だと思ふ かつ思ふ 万有(ものみな)空であることが華」(高野公彦)という句のごとし。あるいは、直感的かつ感覚的にこの世界を夢ある世界に見立てていくような星回り。
般若心経の「空即是色」を歌にした一首。この世はしょせん幻であり、一時的に通り過ぎていく儚く虚しい夢のようなものに過ぎないと断じるのは簡単だけれど、ほらよく見てごらん。
雨上がりに空にかかる美しい虹だって、実体のない「空ならむ空」だろう?
してみると、この世は本質的に影絵の世界であるからこそ、そこに思い思いの夢を描いて感動したりされたり、影響しあうことができるのだ、と。
作者はそういう体験のことをあえて「華」だと言っているのではないでしょうか。
恋にせよ、仕事にせよ、誰か一緒に暮らすことだって、一時的に咲いては散ってゆく花のようなものであり、それゆえにこそ美しく感じられるのかもしれません。
5日(金)におひつじ座で新月を迎えるだけでなく、うお座の守護星である海王星に、認識とコミュニケーションの水星が重なっていく今週は、そうした自覚に基づいて美的な体験を追い求めていくといいでしょう。
ギーガーの場合
例えば『エイリアン』の造形をデザインしたH・R・ギーガーは、独特の世界観を有するカルトスターとなりましたが、創作の秘密について「自分の夢に出てきたものを描いている」と述べていました。
それがプロモーション用の設定であれ真実であれ、いずれにせよ彼が隠遁生活の中で次々と作品を生み出していったことは確かです。
また、ギーガーの絵を見た人の多くは、おそらくそこに強い性衝動の抑圧を感じる事と思います。
実際、彼は10代の頃に初めてキスをしたことで、しばらくの間絶え間ない性的興奮に襲われ、起きている間中頭の中をエロティシズムが占めていた時期があったと語っており、その体験が創作に与えた影響も大きかったようです。
今週のあなたは、孤独に自分と寄り添い向き合っていく時間の中で、時間をかけて研ぎ澄まされ、育まれるものの力を再認識していくことでしょう。
今週のキーワード
「一期の夢よ ただ狂え」