うお座
大地の上に咲く花よ
愛は祈り
今週のうお座は、「ヒヤシンスしあわせがどうしても要る」(福田若之)という句のごとし。すなわち、自分の中で「尊い」としか言いようがないものを顕わにしていくような星回り。
この句は東日本大震災の直後と言ってもいい4月17日発売の「週刊俳句」に発表されたもの。
あのタイミングで公にものを書く人が一体どれだけの緊張感を持って、どれだけ本当のことを書くのか。
あるいは書かないのか、ということを突きつけられていたということを踏まえてみると、より一層、この句が見事としか言いようがないことが分かるはずです。
ひらがなで表記された「しあわせ」の儚さと、続く「どうしても」の頑なさが託された早春を代表する花・ヒヤシンス。紫色の小花を集めて凛と直立するその姿を最初にもってきたことで、この句はそのまま「祈り」となり得ているのだと思います。
恋愛が錯覚であるとするなら、愛は祈りでしょう。そうであるならば、あなたはどこに向かって、何を祈るのか。
先週から引き続き、自らにとって尊きものとは何なのか、向き合っていく時です。
ブッダの第一声
仏典によれば、かつてゴータマ・ブッダは母・摩耶の胎内から出て七歩歩き、蓮の花の中に立って、「天上天下唯我独尊」という第一声を放ったと言われています。
これは決して「自分より優れたものなどない」という思い上がりなどではなく、この世に個として存在する「我」より尊い存在はないという自らの尊厳への確信に貫かれた言葉。
そして、蓮の花とはそんな尊厳にみちたブッダを支える玉座、すなわち「背後から支える力」として彼の聖性と分かちがたく結びついており、聖地における磐座(神の宿る自然の依り代)に近い役割を担っているものとも考えられます。
つまり、あなたが自分本来の尊厳を取り戻していくためには、まず自分にとっての「蓮の花」を見つけていかなくてはならないのです。
今週は、そんな普段あまり気にすることのない秘やかなつながりや結びつきにおのずから焦点があたっていくことになるでしょう。
今週のキーワード
磐座と依り代