てんびん座
心を後ろにまわす
空気の写生
今週のてんびん座は、「秋晴の空気を写生せよといふ」(沢木欣一)という句のごとし。あるいは、ゆれ動く自分の背後で支えてくれている、ゆるぎない存在を見出していくような星回り。
作者自註には、「『空気が写生できなければ駄目だ』と棟方さんが語った。終戦まもなく富山県福光町に疎開中の棟方さんを訪ねた頃のこと」とある。この「棟方さん」とはかの高名な画家・棟方志功のこと。
作者はもらった言葉を、分かったような、分からないような、居心地のわるい思いをしながらしばらく考えた結果、言われた言葉を「写生」したのでしょう。結果として、その考え込んでいる「空気」がそのままに描き込まれている。
しかし、それは果たして気持ちのいい「秋晴」のそれかと問われれば、NOという他ありません。むしろ、そんな作者の姿を見透かしつつも、黙って座っている棟方さんのまなざしの方にこそ、「秋晴」の「空気」を見出していくことができるはず。
つまらないことで一喜一憂してしまう自分のそばには、つねに秋晴れのような透き通った誰かのまなざしや言葉があって、あなたに気付かれるのを待っているのではないでしょうか。そのことに果たして思い至れるか、今週は問われていきそうです。
自分の後ろ姿を見ていてくれる存在
誰であれ、自分の「後ろ姿」を見ていてくれる存在を持たない人というのは、きっといません。それが何であれ、そのまなざしに応えることのなかに、幸せというものの実感は生まれてくる。
もし、今あなたにそういう存在の心当たりがないのならば、「心」を後ろにもっていくための方法を発見しなければなりません。それは決断しれみれば案外、簡単なことなのです。
心に決めたら、一晩よく眠って、もう一度起きてから考える。それだけでも、心は後ろに回ってくるものです。ぜひ試してみてください。
今週のキーワード
秋晴れの空気