てんびん座
一家の住人
今週のてんびん座:芭蕉の意図
今週のてんびん座は、「一家に遊女と寝たり萩と月」という句を詠んだ松尾芭蕉のごとし。あるいは、物議を醸す一手をあえて打っていくことで、自分に喝を入れていくような星回り。
「遊女と寝た」なんて堂々と書くとは! とても衝撃的な句ですが、実際には掲句のようなことはなかったのだそう。つまり芭蕉の創作なのですが、普通は勘違いしてしまいますよね。でも、それならなおさら、どうして芭蕉はそんな真似をしたのでしょうか。
恐らくですが、芭蕉は何かを壊したかったのではないかと思います。自分の中や世間の中の常識や固定観念を。
「一家」は「ひとつや」と読むのですが、この「や」というのはホームを意味する「イエ」と違い、単に建物であることを意味し、「仮の宿」であることを強調しているように思います。
つまり、この「一家」というのはいわばこの世のことで、そこでは自分も遊女も同宿の者じゃないかと。そして、そうした多なるもの(萩)としての自分たちのことを、月はまるっとまとめて許して、受け入れているのだ。
こうした脱人間中心主義的な奥深い世界観を、炎上しそうな表現の背後に透かして込んでいくことを、芭蕉はどこかで楽しんでもいたし、真剣に取り組んでいたのでしょう。今週は、そんな芭蕉の影をどこかで追っていくくらいのつもりで過ごされてみてください。
おなじ地球人として
世の中や人生には、思わず目を背けたくなるような現実がゴロゴロ転がっているものですが、あなたはどこまでそこに意識を向けられているでしょうか? あるいは、どれだけ目を背けているのでしょうか?
地球を直径1メートルほどのボールだとすれば、生命の生きることのできる大気圏は紙1枚分の厚さしかないのだそうです。
たとえどれだけ目を背けたとしても、あなたはすでにそんな領域をたくさんの生命と共有しているのです。
今週のあなたはつながろうと思えばどんな相手でも繋がれる環境を存分に活用し、楽しんでいくくらいの姿勢が問われてきそうです。
てんびん座への今週のキーワード
月になったつもりで地球を見つめる