てんびん座
(今さらながら)UFOを追おう!
「自分こそが正しい」を超えて
今週のてんびん座は、自分自身への興味を段々なくしていくこと。あるいは、改めて自分の外側に興味を向け直していこうとするような星回り。
昨今話題のカルト宗教や自己啓発に強烈にハマる人に高学歴が多いことを不思議に思う方もいるかも知れませんが、受験勉強やスポーツなど勝ち負けがはっきりと出る世界というのは、「自分の方が他人よりも正しい」ということがわりと簡単に証明できますし、そういう心性をもともと持っている人の自己認識をより強化・助長させていきます。
しかし、「自分こそが正しい」ことを証明する喜びをいったん味わってしまった人にとって、現実の社会は非常に生きづらく感じられます。というのも、ビジネスやスポーツの世界で大成功し、富と名声を実際に手に入れられる人というのは、確率的に限られたごく一部でしかなく、そのほかの大多数は成功することができないからです。
ところが、いったん「自分は正しいはず」という認識を持ってしまうと、そうした事実をなかなか受け入れられず、認知的不協和をこじらせた挙句、ますます自分の内側にあるはずの“正しさ”を証明してくれる意見や理屈を求めて暴走していく訳です。
その意味で、本来の意味での学問的な態度や哲学的アプローチの核心というのは、“正しさ”を自分の内側(思い込みの範疇)から、外側へと向け直していく点にこそあるのではないでしょうか。
9月23日に自分自身の星座であるてんびん座に太陽が入座する(秋分)今週のあなたもまた、人間のある種の本能へのチャレンジとして、自分よりも重要な何かを再発見していくことがテーマとなっていきそうです。
映画『未知との遭遇』の一幕
思春期には遍歴が必要ですが、今のような高度な産業構造が確立したグローバリズムの時代にはそれがほとんど不可能となりました。その代わり、『未知との遭遇』のように中年に入るか入らないかの、40代前後あたりでUFOを見たりする訳です。
ただあれは「未知との遭遇」と言いつつも、実際にはフライング・ソーサー(空飛ぶ皿、円盤)であり、「既知との遭遇」なんです。思春期のころ、自分の身体性の延長として世界に接触しようとした時に、得てして「いい学校にいくこと」だけが人生だという価値観に囲まれていると、心のどこかでそうではないと感じつつも、自分に見合う価値観が見つからなくて、決定的なズレが生じてしまう。
その意味で、UFOというのは一種のデジャ・ヴュ(既視感)であって、思春期で意識がズレたときに戻ろうという衝動の現われなのかも知れません。そこで、これまで当たり前に身辺にあった既知のものの中に、未知が帰ってきて、そこに飛び込んで改めて一人きりになり、生まれ直しをしていくのではないでしょうか。
今週のてんびん座もまた、うまくいけば自分のなかの潜伏していた衝動の容れ物(UFO)を見出していくことができるかも知れません。
てんびん座の今週のキーワード
第2の転換期としての「思秋期」